『日刊ゲンダイ』法人税減税で国際競争力アップのウソ

 財界は「法人税減税が国際競争力の強化につながる」と言っている。しかし、その根拠はゼロだ。経済ジャーナリストのの荻原博子氏が言う。
法人税の税率は、大手企業の場合、20年前の40%から30%に引き下げられました。その間に法人税の税収は合計で180兆円も減っています。競争力がアップするのなら全体が底上げされて、税収は税率が下がっても増えそうなものですが、そうなっていません。しかも、スイスのIMD(国際経営開発研究所)が発表している世界競争力年鑑を見ると、2010年の日本の順位は20年前の1位から27位にまで後退しています。中国や韓国、タイにまで抜かれ、下はチリ、チエコ、アイスランドという具合、法人税を下げれば競争力が増すというのは、幻想でしょう」
 法人税減税を□にする連中は、「税率が高いと、みんな海外に移転してしまう」と言っている。これもナンセンスだ。「世界中で日本ほど治安やインフラに恵まれている国はありません。中国国内の工場での騒動を見れぱ、本社の移転はリスクが大きい。政治家や要人とコネクションを築くのも一苦労です。ベトナムで財界活動をしようと思っても、一朝一タでインナーサークルに入れるわけではありません。企業の海外流出が増えるとは思えません」(荻原博子氏=前出)
 法人税減税の恩恵を受けるのは、大手企業の経営者だけである。
−−「法人税減税で国際競争力アップのウソ」日刊ゲンダイ2010年7月5日号2面

 そもそも、日本の法人税が高すぎるという説にすら疑問が出ているけれど、この『日刊ゲンダイ』の記事はそれを裏付ける内容とです。税率を下げて、税収が減ったから、また税率を下げるという主張は、財界の言い分によれば「国際競争力アップ」がその理由となるわけですが、根拠のないものといえます。それは最近公表されている高額の役員報酬や大手企業の給与水準が中小企業と比べて高いことによっても裏付けられます。もし消費税アップが企業減税とバーターされるなら、それはこれ以上ない逆進税制への改悪といえると思います。