「テレビはなぜ朝から晩まで鳩山政権を叩くのか−隠された電波利権の闇」日刊ゲンダイ2010年4月21−24日連載(全4回)

 かつて新聞を読むことが、教養を高め、社会に対する問題意識を高めることを意味する時代があった。そんな趣旨で、これまで私もこのブログで朝日新聞等の特集記事を紹介してきた。
 しかし、いまや、夕刊紙『日刊ゲンダイ』をのぞく大手新聞、地上波各局の「報道」はその地位を失ったと言っていいだろう。それが復活する日まで、大手新聞、TV報道は見る価値がなくなった。
 朝日、毎日、読売、サンケイ、日経、東京新聞と、その資本系列TV局であるTV朝日、TBS、日本TV、フジTV、テレビ東京、東京MXは、例外なく、検察の小沢に対する不当捜査を黙認し、むしろ一体化する形で小沢=鳩山批判を繰り返している。それも1社の例外なくである。
 夕刊紙である『夕刊フジ』はフジ=サンケイグループだから、昔から反民主党で、いまもそうだ。
 気持ち悪いのは、ついさっきまでへらへらとエンタメ情報を流していた「目ざましテレビ」の大塚アナウンサーが、急にまじめで深刻そうな顔をして、小沢や民主党を批判し始める姿が、最近とみに増えたことだ。また、『週刊新潮』が民主党を批判するのは、右翼=自民党系雑誌社なのだから当然としても、『朝日新聞』までもが一緒になって、民主党批判を必死に繰り返している姿である。
 書いている本人は、これが読者のためになると「必死で自分に言い聞かせている」のかもしれない。しかし、それはむなしい努力だ。なぜなら、彼ら自身が知っているのだ。自分たちのしている民主党批判は、正義のためではなく、自分たちTV局、新聞社の利権、それも大っぴらに視聴者に語れない「利権」を守るための行動であるということを。民主党の支持率が高ければ高いほど、彼らは、より必死に民主党批判をすることになる。
 その手法はこんな形だ、お子ちゃま大臣の前原が、官僚の言うことをうのみにして高速料金を値上げすれば、大手メディアは公約違反だとかみつく、そして、小沢が、公約に沿った形にしろと意見すれば、それはまさに大手メディアが批判している内容そのものであるにもかかわらず、小沢の独裁が強まったと批判する。つまり、内容なんて関係ないのだ。ともかく、民主党を批判できれば、それでいいのである。
 考えてもみてほしい。小沢や鳩山が、有権者や日本に住む人々にとって何か悪いことしただろうか? そして、今も自民や公明が政権を取っていたら、今よりましになっていたのだろうか? つまり、大手メディア(といっても、それはほとんど全部のメディアと言っていいだろう)が、ネガティブに報道しているだけで、実際に彼らは、非常によくやっているのだ。
 みんなの党はどうだろうか? 彼らは結局、自民亜流だ。そうでなければ、民主党に協力して、現状よりいい官僚制改革案を提示しているだろう。共産党がそうしているようにだ。それすらせずに様子を見ているのは、単なる反民主のザコであるからにすぎない。
 メディアといえばNHKがあるが、彼らも旧メディア利権を維持したいという意味では、民放各局と利害が共通している。だから、民放各局ほどではないにしても、民主党を貶めることに熱心である。
 であるから、自らの労働によって生活する普通の市民にとって、読むべき新聞は、今や『日刊ゲンダイ』だけになった。駅売りが中心のこの新聞を見かけない人は、ネット版を読むべきである(http://gendai.net/)。

 表題にあげた日刊ゲンダイの連載は、常日頃、同紙が一般紙面で主張している内容をより分かりやすくまとめたものだ。
 見出しのみ、紹介しておこう。第1回「売り上げ3兆円に対して(TV局の)電波利用負担はたった40億円/このウマ味を手放したくなくて民主党批判」、第2回「民主党を弱体化し支配下に置きたい/その象徴が小沢事件報道だった」、第3回「電波独占を民主党にジャマされたくない/総務官僚も天下りでグル」、第4回「バッシングに負けて「電波オークション」政策を引っ込めたら連中の想うツボだ/民主党は有言実行あるのみ」。
 電波は国民の財産である。だから、OECD諸国30カ国のうち23カ国は電波帯域のオークション制度を導入し、利益をあげている。この利益は、それが手に入らなければ税金で補てんされるもので、そのぶん納税者は多い税金を支払わなければならないわけだ。第1回の見出しにある40億円は、電波利用料の約5%で、残りのほとんどは携帯会社が払っている。
 また、地デジ後の、空き電波帯域をオークションにかければ、1兆7千億円の利益をが見込めるという。他の先進国では、このようなオークションの売り上げが、納税者や国民のために有効に利用されていることも紹介されている。
 また、新聞社がTV局の株をもつ「クロスオーナーシップ」に対する規制は、先進民主主義国では常識に類することだ。なぜなら、新聞とTVが同じ会社になれば、利害関係から異論が主張されなくなる。日本の現状がそのいい例だろう。この禁止も、民主党の昨年の選挙公約である。
 ここで、ほとんどのメディアが一斉に民主党批判をし、なんとしても政権の座から追い出したいと行動する意味が明らかになったと思う。

 かつて私は、昨年の選挙は、「民主党を支持する普通に働く有権者と、自ら働かず、国家予算にぶら下がって不当な利益を得ている寄生虫たる腐敗天下り官僚、天下り会社と連合した自民・公明党との戦い」と表現した。そして、その寄生虫たる天下り会社の最大の者は、建設会社だけでなく大手メディアだったということなのだ。
 考えてもみたまえ。もしテレビ出演者が、電波のオークション制度が必要だとか、もっと言えば、そうした考え方があることすら言及したとしたら、彼らは2度とTV出演できないだろう。クロスオーナーシップについても同様で、この二つの話題に触れたとたん、TV新聞には2度と登場することが不可能となる。こんなメディアに正義を語る資格があるだろうか? そして、もしこの文章に不信感をもつなら、グーグルニュースでもいいのだが、ネットニュースの発信元が新聞社かTVのものを見てみるといいだろう。必ず民主党を批判しているだろう。しかしその目的は「社会正義」ではなく「会社の利益」。こんな腐敗をゆるしていいのだろうか。これに対抗する為には、民主党参院過半数獲得しかないと確信するものである。