私が死刑廃止に賛成な理由

 今日仕事でネットを見ていたら、死刑廃止論者の学者をつるしあげる掲示板の書き込みを見かけた。テレビでもタレントの仕事をしている弁護士が同様の主張を、非常に感情的に、繰り返しているらしい。私は死刑廃止論者なので少々気にかかった。
 私が死刑廃止に賛成する理由は、非常にシンプルなものだ。そこで、死刑存続賛成の方に是非ご一読いただき、意見を聞きたいと思った。ご意見は、コメント欄にお書きいただければと思う。
 私の主張は以下の通りである。死刑を全廃し、それに代わって刑期の短縮がない終身禁固刑を創設するというものである。なぜなら、人が人を裁く以上、絶対に冤罪(間違った判決によって罪に服すること)が発生し、その冤罪によって、無実の人間が死刑の判決を受ける可能性があるからだ。この冤罪の場合に死刑が執行されたなら、執行の後に無罪が証明されても、処刑された損害を回復する手段がなくなる。だから、死刑に代えて、最高刑を、刑期短縮のない無期禁固刑にすべきであると主張するものである。
 この見解は高名な刑法学者にして最高裁判事でもあった団藤重光さんの死刑廃止論とほぼ同じものであり、その主張に私も同意するということである。
 また、死刑制度がそれに該当する犯罪に対して抑止力を持つという学術的データは存在しない。それゆえ、犯罪に対する抑止力が証明できないことも、死刑を廃止すべきと私が考える理由の一つである。
 もし、上記の私が書いたことを是認されるのであれば、それでも死刑とその執行を肯定する人は、罪を犯した可能性の高い多くの人のために、罪を犯していない人(まさにこれが冤罪であり、神ならぬ人の裁く裁判で、この冤罪は必ず発生する)を殺してもかまわないということを主張することと等しくなるだろう。
 死刑相当刑の終審判決を受けた容疑者を国民の税金で生き延びさせることを非難する人も同様だろう。
 要は、無実の人の権利回復を認めるのか認めないのかという問題、これに死刑廃止議論は集約されるものと私には思える。そして、私の結論は権利回復の可能性を残すべきと考えるものであり、それゆえ死刑廃止に賛成なのである。