民主党は新たな一歩を踏み出せるか?

 「集団的自衛権の言葉を(自民党総裁選で)色んな方が使われているが、自衛隊が戦闘、戦争目的で海外に出て行くのは現憲法でも許されないし、将来、憲法改正を考える場合でも、それを許す憲法解釈は望ましくない。これは我が党の姿勢だ」
−−菅直人民主党代表代行(朝日新聞、2006年9月1日朝刊4面)

これを読んで、本当かよ!って思わず突っ込みを入れたくなったのですが、事実だとしたらこれは重要な決定だと思います。前回衆議院議員選挙直前には、現行憲法でも国連軍として自衛隊に海外での戦闘を可能にする法案を準備すると発表した民主党にとって、これは非常に大きな政策転換となります。
この姿勢を明確にすることによって、「改憲と軍事教育の実現」を公約の大きな柱とする自民党安部晋三に対して、明確な対立軸が構成され、社会民主党やひいては日本共産党とすら、選挙協力が可能となるという2点において重要な政策発表といえるからです。
もう一度、安部の主張に戻れば、有権者の誰も「改憲や教育改革」など望んでいない。むしろ景気や年金改革など、生活面に関する関心こそ高いのが世論調査の結果であると思います。何でこんなねじれが生まれるのかというと、人気先行で、自民党議員が生き残りをかけて政策の判断抜きで安部になだれ込んじゃったのが原因です。
であるのなら、野党は十分な政策的対案を示して、安部に対抗する必要があります。いつまでも、タカ派の旧自由党的政策を引きずっていたなら、同じタカ派の安部に対抗することはできないからです。それに安部の改憲は、いってみればアメリカの自由にできる軍隊としての自衛隊を作ることに尽きます。そこには何の民族独立もないことは明記すべきでしょう。