ルンペン・プロレタリアート放浪記

福島第一原発事故関係URL
武田邦彦(中部大学)ホームページ
http://takedanet.com/
都健康安全研究センター
都内の環境放射線測定結果 測定場所:東京都新宿区百人町
http://ftp.jaist.ac.jp/pub/emergency/monitoring.tokyo-eiken.go.jp/monitoring/
東京都ホームページ
http://www.metro.tokyo.jp/

怒りを歌え、
女神よ、
ペレウスの子アキレウスの−−アカイア勢(ギリシア勢)に数知れぬ苦難をもたらし、あまた勇士らの猛き魂を冥府の王(アイデス)に投げ与え、その亡骸(なきがら)は群がる野犬野鳥の食らうにまかせたかの呪うべき怒りを。
岩波文庫、松平千秋訳

とりあえず就職が決まった顛末
 やっと仕事を見つけました。警備会社による防犯パトロールです。これは警視庁がクライアントである緊急雇用対策事業で失業者が対象となるものです。
 本当は業績を上げてる会社に雇われて仕事したかったのですが、最初に決まったのがこれで、生活費を稼ぐという条件にかろうじて合っていたので、決めました。
 出版社と比べて、文字通り、地を這うような仕事なのですが、そのぶん視野が広がった気がします。来年3月末までの期間限定なので、それまでにその次の仕事を考えなければなりません。その意味でも、僕にはちょうどいいのかなと思います。
 失業期間とこの仕事で2つのことがわかりました。
 僕の場合、若年の失業に比べより悲惨と言われる中高年の失業なので、その実感がわかりました。中高年というのは、一般的に社会経験があってその積み重ねの中で仕事をしていくものですが、何らかの理由でその経験を生かせないとしたら、若くて将来性のある若者と同じ土俵で競争しなければならない(この「競争」とは労働市場といったマーケットメカニズムにおける無政府状態の意味です)。そのため不利を強いられる。
 かといって年齢差別に関して、欧州と比べ日本の法律は立ち遅れているため、法的にも無政府状態という感じです。もっと突き詰めれば、この差別は資本主義が常に失業者を一定のレベルで必要とするという構造に起因するのですが、それを補うために修正資本主義と呼ばれる現代に社会保障制度が必要とされる所為でもあります。
 もう1つは、他の産業と比べ比較的雇用需要があるといわれる警備産業の実情に関してです。じつはこの産業も、基幹となる発注側の会社の景気状況に左右されるサービス業なので、そんなに産業として安定してはいないという状況に気づきました。
 僕が雇用対策事業として日本語講師養成講座を受講していた時期に、ハローワークの職員が、求人があるのは警備分野と紹介してくれたのがこの仕事なのですが、本格的に自分の仕事とするには資格の階層を登る必要があって、本格的に自分の仕事とするにはそれなりの覚悟が必要なこともわかりました。これはどの仕事でも一緒ですが。
 この話とは別に、防犯パトロール自体から学ぶことも、まだ始めたばかりですが、いろいろありました。
 前職の法律書編集では、法科大学院刑事訴訟法関連テキストとして裁判員制度を反映した刑事訴訟実務の実例集を作ったのですが、この本には犯罪に至るリアルな経過(本の主題は刑事訴訟実務です)が含まれていました。精神医学の事例も、ある意味社会の吹き溜まり的悲劇があるのですが、犯罪も同様です。
 制服向上委員会の歌「Stop!Stop!Stop!」(http://www.youtube.com/watch?v=wI-rT95y2Ms)は、自殺や、秋葉原無差別大量殺人のような自殺する勇気が無いために自分を死刑に追い込むためにする犯罪を行おうとする人々に対する訴えとして秀逸な曲なのですが、それが今の仕事も防犯という性格上、日々の事件として伝わってくる。ここには、やはり行き場を失ったディスパレートな心情があるように思えます。でも、本当は行き場や逃げ道はたくさんある。
 もちろんこうしたものは、犯罪の世界に染まって抜け出せなくなった人々は対象にならないようにも聞こえますが、やはり彼らにも心情的に共通する部分があるし、それゆえ、この制服向上委員会の歌も訴える部分があるような気がします。
 失業者も警備職員も、そんな不況の中で、若者も中高年もそろって、知恵を絞って未来の自分たちの生活を確保すべく考え働いているということが、僕の得た実感でした。これこそ資本主義における労働市場のメカニズムだろうし、逆に、そうした努力が身体的・精神的に不可能な人々に対しては十分な補償をすべきなのは言うまでもありません。
 また、新しい職場で様々な年齢層の人と話をする機会ができたことは収穫でした。それは失業期間中の職業訓練校でも一緒です。

電気料金をボイコットする方法
 こうしたなか一番腹を立てた新聞記事が、サラリーマンの平均年収の中で、ガス・電気といった独占企業体分野の平均年収が一番高かったことです。700万円台の平均年収を得ている。彼らの給与は競争が無いのだから、サラリーマン全体の平均年収、いや個人経営者も含めたすべての勤労者の年収平均にすべきですね。公務員が税金を納めている人より高給だったら、それこそお話にならないわけです。同じことがこれら独占企業体の職員にも言えます。
 工夫して安くて良い商品を作り、それによって業績が上がった企業職員が高給を取るのなら、誰も文句を言わない。でも、そうでないとしたらそうした独占企業、公務員は、やくざと同類です。
 余談ですが、東京に住む自分はどうしたら東電の商品たる電気料金をボイコットできるか考えました。というのは、ここ30年くらいの反原発運動の中で、原発に相当する30%の電気料金を支払わず、電気を止められ悲惨な生活を強いられる活動家の話を聞いているからです。これこそ独占の不法な権力乱用に他なりません。ほかに電力の供給が可能なら、だれも不払い運動などしないからです。
 1戸建の場合一番現実的なのは、太陽光パネル+蓄電システムや東京ガスエネファームを導入してローンを組んで払う方法かなと思います。エネファームhttp://www.tg-lease.co.jp/info_110401.html)はモデルケースで月々1万4千円の120カ月ローン(実質年利1.9%)で導入できるそうです。光熱費節約効果は年5、6万円というから、10年じゃ足がでます。というか20年でも足がでるのか。元を取るのに40年かかるのですか。40年たったらぶっ壊れそうですね。でも、少なくとも東電のインチキ商売に加担する罪悪感から逃れることができます。
 すべての世帯の合計で500A以上を使う集合住宅の場合は管理組合に圧力をかけて東電以外の電気事業者と、より安い電気料金契約を結ばせればいいし、アパートの場合は借り手全員の合意を得て大家に圧力をかければいいと思います。
 このあたりは詳しい人に知恵を借りたいところです。
 ともかく、東電は会社を清算して原発事故の賠償金を必要なもの全て支払うべきです。国民は「安全」という言葉にだまされて、しかも割高の電気料金を支払わされ続けてきたのだから、全く責任はありません。
 在日米軍基地問題にしても原発事故処理問題にしても、野田首相はとんだ低能と言うほかありません。百害あって一利なしと言うべきです。自民党も一緒ですけどね。民主党にはしかるべきリーダーを選び直してほしいと思います。でも、それも時間の問題ですね。