我々は決して福島を見捨てない

 第三の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、たいまつのように燃えている大きな星が、空から落ちてきてた。そしてそれは、川の三分の一とその水源との上に落ちた。
 この星の名は「苦よごみ」と言い。水の三分の一が、「苦よごみ」のように苦くなった。水が苦くなったので、そのために多くの人が死んだ。

−「ヨハネ黙示録」第8章、なわ・ふみひと氏のサイト『2012年の黙示録』(http://www.h2.dion.ne.jp/~apo.2012/Yohane.html)から引用

市民が自らを守るための福島第一原発事故関係URL

東京都ホームページ
http://www.metro.tokyo.jp/

都健康安全研究センター
都内の環境放射線測定結果 測定場所:東京都新宿区百人町
http://ftp.jaist.ac.jp/pub/emergency/monitoring.tokyo-eiken.go.jp/monitoring/

武田邦彦(中部大学)のブログ
http://takedanet.com/

フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)のシュミレーション動画
日本周辺での拡散
http://www.irsn.fr/FR/popup/Pages/animation_dispersion_rejets_17mars.aspx
世界への拡散
http://www.irsn.fr/FR/popup/Pages/irsn-meteo-france_19mars.aspx

 昨夜のNHKビジネスニュースは、非常に興味深いものでした。ニュースを見るために書斎のテレビをつけっぱなしにするのは、各家庭でいまよくある風景だと思うのですが、そんな関係で目にしたものです。
 このニュースは豪華なゲストでソフトバンク孫社長などが出演していました。孫社長は、まず「官房長官が避難エリア拡大に言及した以上、国や自治体はすぐに、いざ避難勧告が出た時の住民輸送計画の策定に着手すべきである」と発言しました。「これをTVで言うのはまずいかもしれませんが……」と前置きしたうえでの発言です。これはこれまでのNHK放送では決して見られなかったものだったので、思わず注目しました。
 武田邦彦氏もホームページで発言しているように、これまで自治体は東電の「安全です」という発言を受けて、まったく避難計画を策定していませんでした。それが、20キロ避難、20−30キロの屋内避難→自主避難という国の指示を受けた時の大混乱につながりました。
 東電がどう言おうと、国・自治体は独自の立場から、住民の命を守るために避難計画を作ることが義務となります。それを怠った時、県知事や市長は、決して言い逃れができない行政上の不作為を行ったことなります。彼らが平時に強大な行政権を持つのは、こうした住民に対する重い責任を持つからにほかなりません。
 武田氏は、飛行機の搭乗員が墜落事故を想定して乗務員が避難の手順を乗客に説明することを例にして、このことを説明していました。そのとおりだと思います。
 もう1つ孫さんが主張していたことは、政府の情報全面開示でした。風評を防ぐにはこれしかないという理由からです。実際問題として、九州に来る観光客ですらキャンセルするといった観光業への大打撃が始まっています。他の輸出産業も同様だということでした。
 ここからは僕が思ったことですが、政府が情報を出さないのはパニックを恐れてのことだと思います。しかし、そうした姿勢が逆に科学的根拠にもとづかない風評を生みだすことになる。こんな時、政府が何か隠していると思われることは最悪の結果をもたらすだけでしょう。そして、事実、すでにもたらし始めているように見えます。
 武田さんは上に掲げた自らのホームページで、以下のように書いています。

 放射線障害防止規則による妊婦の被曝量の限界は毎時約0.5マイクロシーベルトですから、私達専門家は福島県の東部の多くの市町村において、妊婦等の避難を勧告する立場にあるのではないでしょうか。
現在ではむしろ政府より放射線の専門家の方が「安全だ」ということを強調しているように見えますが、むしろ放射線の専門家は国際勧告や法律に基づいて、管理区域に設定すべきところは管理区域に設定すべきといい、妊婦の基準を超えるところでは移動を勧めるのが筋ではないかと思います。
その上で、政府や自治体がどのように判断するかというのは放射線の専門家の考えるところではないとわたくしは思います。
武田邦彦(中部大学)ホームページ、最近の著作「放射線の専門家に自重を求める」から引用

 法に基づいた行政を行うこと、それのみが日本政府の誠実さや本気度を証明することになるのだと思います。政府は今、こうした専門家の意見を無視しています。そしてそれは日本に住む人々に対する大きな背信行為です。
 どこが安全でどこが安全ではないのか、そして安全でないとしたらどの程度安全ではないのかを示すのが、管理区域の設定という法の考え方です。
 事故が起こってしまったことは、すでに過去の出来事であり、仕方のないことです。問題なのは、その後に何をするかです。大切なのは、同じ過ちを繰り返さないこと、そして、これ以上の人的被害の拡大を防ぐことです。
 原発事故から2週間を過ぎて、事態は新しい局面に入ったように思われます。放射能漏れを防ぐ作業は、少なくとも1か月以上、長くて数年かかると言われ始めています。炉心の放熱と圧力を調整する作業は難航を極め、水を通した圧力弁の解放のみならず、炉心の空気を直接解放すること(ドライ・ベント)も必要になるかもしれないと言われます。後者の場合には、今以上の放射性物質が放出されます。
 今日見た『パックインジャーナル』に出演していた技術者によれば、炉心の状態が確認できない以上、ごく稀な可能性としても、圧力容器の融解と放射性物質メルトダウンも否定できないということでした。その場合には、核燃料は地下水と触れ合って蒸気爆発を起こし、広島原爆の核物質がキロ単位であるのと比較して、トン単位の放射性物質がまき散らされるという話でした。
 格納容器融解は確率的に少ないということなので、この可能性は排除しても、それだけ危機であるのならドライ・ベントは覚悟する必要があるのかもしれません。
 つまり状況は、しばらくは現状維持か、もう少し悪くなるか、最悪の場合はもっとひどくなると考えるのが順当であるようです。
 ですから日本の住民は、冷静に、そして必要なことを政府に訴えていかなければなりません。
 そして東京の有権者にとっては、東京都知事はこうした危機に一番対応できそうな人間、日本共産党の小池あきら氏を選ぶべきだと考えます。いまこそ、東京の有権者の本気を見せるべき時です。
 平時には無能な首相や首長が、悪いことをしようとして、無能であるが故にできないことは歓迎されるべきことです。しかし、こうした危機に直面して、それでも危機に対する備えができないとしたら、それは本当に憂慮される事態です。統一地方選挙が近い今、まず首長から日本を変えていくべきでしょう。
 政治家は懸命に努力する国民と同じだけ、またはそれ以上の努力をすべきです。そして、もしそれができないのであれば、そんな政治家は排除するしかないのです。
 最後になりましたが、標題について。
 辺野古の問題で本土のマスコミと人間は沖縄を見捨てようとした。今、僕らは同じことを福島と東北の被災者に対して行っていけないという意味で書きました。
 日本政府が本気で脱原発のエネルギー政策をとるのなら、暑くなる今年の夏までに、すべての裕福な家庭に太陽光発電と電気自動車のバッテリーによる蓄電池を備えて、それらをスマートグリッドで結んで電力需要を抑えることが可能だと思います。そこに電力買い取り制度を強化した、風力・波力・太陽熱などの分散型自然力エネルギーをつなげばいい。これには政府の財政援助が必要でしょう。でも、それさえあれば、必ず日本に住む住民はこれを実現できるし、震災後の景気浮揚効果もあると確信しています。
 財政支出を拒み、なおかつ消費税値上げを画策する、愚かな菅首相とその取り巻きは、これに目を向けるべきです。そして、もし目を向けられないとしたら、彼らに明日の選挙での当選はないでしょう。
 それとも、もっと危機が差し迫っているのだから、僕らはデモで街に繰り出すべきなのかもしれません。