東北関東大震災

 今回の地震で東京の死者は5名なので、僕の近況を心配してくれている人は少ないと思うのですが、とりあえず無事であったことを報告させていただきます。
 以下、その日の個人的経験を書こうと思います。

2011年3月11日
 金曜日、地震があった時、両国の古いビルの5階で職業訓練の授業を受けていました。下町で、しかも古いビルだけあって揺れがひどく、みんな机の下に隠れたのだけれど、年長の受講生がひとりだけ隠れないでいたので心配しました。後から聞くと、建築関係の仕事をしてきた人で、これくらいの揺れなら鉄筋コンクリートのビルは崩れないとわかっていたとのことで、さすがと感心しました。
 ともかく、地震の大揺れの中でも、学校スタッフは外国人学生に不安感を抱かせないようにと、校内放送で「地震はだいじょうぶです。窓のそばから離れて、机の下に入ってください」と、平気な声で外国人でもわかる平易な言い方で校内放送をしていたのには驚かされました。
 地震が一段落してから階段を通ってビルの外に避難したのですが、階段には粉じんが落ちていました。教室も、柱と壁の接合部に大きくひびが入っていた。
 また、階段を降りるときに、学校のスタッフが各階にいて、学生が残っていないかを確認しながら避難誘導している姿を非常に心強く感じました。
 その後ビルから出て、近くの公園に避難しました。その後も余震があって、近くのビルから離れたりしました。
 避難も1時間を越えたあたりから、寒さを感じるようになってきました。公園には幼稚園児や要介護の老人もいて気の毒だったのですが、その頃には、どこか別の場所へ移動を始めていました。
 携帯はほとんど通じないため、みんなメールを打って、その返事待ちでした。東京の学校なので、当然JRが動かないと帰れない学生もいて、彼らは学校スタッフと一緒に公園に残っていました。僕ら帰れる人間は、その場で解散となりました。
 両国から板橋までは、以前、文京区の春日まで歩いたことがあり、前の職場からはお茶の水から西巣鴨まで歩いたことがありました。だから歩けると思ったんですよね。途中、都営地下鉄が動いたら、それに乗ればいいと思っていました。結局、地下鉄を利用せずに、3時間ほどで家につきました。
 携帯は歩き始めた頃までメールの返信も含めてつながらなかったのですが。途中電話ボックスを見つけて電話したら、家の固定電話につながりました。その時はじめて家族の安全が確認できました。帰りの途中、携帯のバッテリーが切れたので、キャリア―であるSoftBankの店で5分ほど無料で充電してもらって、歩き続けました。
 通りは、結局、家につくまで、家に向かう歩行者の姿がありました。都営地下鉄は8時半の復旧予定時間を過ぎても復旧せず、結局、最後まで歩きました。
 家に着くと、震度4以上の地震で自動停止するガスメーターが、まだ停止のままになっていて、暖房が使えず、家族が寒さの中で待っていました。そこで、すぐ復旧ボタンを押して、ガスの復旧をしました。水と電気は止まっていなかったので、これで家のすべてのライフラインは復旧しました。
 この時思ったのだけれど、電気や水道があっても、ガスがないだけでこれほど心細い感じになるとしたら、ライフラインが止まっている震災地の人々の状態はいかばかりかということです。
 僕の家は、TVも倒れることなく、本棚の上に積んだ本が落ちたくらいで、本棚も倒れることはありませんでした。全部ではないけれど、壁にねじで止めてあったんですよね。部屋の片づけは後回しにして、その日は居間でTVニュースを見ていました。
 今日まで余震が続いていて、夜中に何度も起きることはあったのだけれど、家具がそれ以上倒れることもなく、ガスも止まらなかったので、震度は大したことはなかったようです。
 東京はこんな状態でした。学校の再開は事務局の連絡待ちとなっています。

東北関東大震災について
 TVで報道される震災の規模を見ると、1万人以上の死者不明者がいるようだし、いまだ孤立した避難所も多数あるようです。医療品、食糧の不足も伝えられるし、ライフラインが復旧していないエリアも広域にある。
 この事態を受けて、首相は非常事態を宣言してでも、すべての国力を傾けた被災者の救出とライフラインの復活を目指すべきだと思います。自衛隊の出動は10万でも足りないだろうと言われています。警察消防と一体化した計画的で迅速な行動が、言うまでもないのですが、要請されます。
 もうひとつ、福島原子力発電所の事故についてですが、想定以上の震災による被害が出た以上、現在の国内の原子力発電所は、今回の震災レベルの災害に対応できるまで、すべて停止すべきだと考えます。
 そもそも国策として続けられた原子力発電にかかった費用をすべて自然力発電の開発に向ければ、現在の電力需要を賄うことは可能であったというのが、僕や自然エネルギーを支持する反原発派の見解でした。それを企業利益や一部腐敗官僚の意見を受けたマスコミなどの原発推進派は無視した。その政策の誤りは、今、今回の地震で明らかになったと思います。原発に関しては、万が一の事故ですら起きてはならないものです。
 結局、僕らは、いまは福島原発の状況に関してニュースで公開される経緯を見るしかないのですが、ここで述べた対策は、必ず迅速に行われなければならないものと主張できると思います。