仙谷、枝野、前原は民主敗北を前提に自民にすり寄る

 馬鹿馬鹿しくていまさら取り上げる気にもならないのが政官財報の癒着構造ですが、またそれを例証する新しいニュースを見つけました。

「政治とカネ」が争点となった衆院北海道5区の補欠選挙の敗北を受け、民主党は24日、小沢氏に対し衆院政治倫理審査会(政倫審)での説明を求める方向で検討に入った。今国会での補正予算成立に向けて「政治とカネ」を重視する公明党の協力を得るには、小沢氏の政倫審出席が不可避と判断した。
――asahi.com「補選敗北の民主 小沢氏に政倫審出席求める方針」2010年10月25日3時20分(http://www.asahi.com/politics/update/1024/TKY201010240341.html

北海道新聞は選挙に先立ち、有権者に何を争点にするかを問うている。「年金・医療・介護などの社会保障」58%、「景気・雇用」が56%、「教育・子育て」33%、「政治と金」はわずか14%だったのだ。
――『日刊ゲンダイ』2010年10月26日付1面

 このアサヒコムのニュースですが、北海道新聞世論調査結果などには全く言及せずに、民主党執行部の誤った情勢判断の発表をそのまま流し、政倫審への出席に反対する小沢派議員を批判しています。こんな御用記事は、いつものこととはいいながら、まったく報道の体をなしていません。明確なプロパガンダデマゴーグです。
 つまりはっきり言えば、北海道の有権者は菅政権の社会保障、景気・雇用対策に反対して自民の候補者に投票したわけです。それは北海道新聞世論調査にはっきりと表れている数字です。
 しかし、すべての菅政権の無策を小沢の責任に転嫁し、自己の責任逃れを続ける菅政権=仙谷の意向を、あえてマスコミは肯定しつづけているわけです。
 仙谷−枝野ラインは、このままいったら民主党が危ないことを知っているから、露骨に自民・公明党にすり寄り、民主党政権崩壊後は、彼らと組んで政権の中央に居座り続けようと考えているように思われます。もともと隠れ自民党員だった前原外務大臣も、当然、この路線に便乗しています。菅総理はといえば、それには反対かもしれないけれど、かといって自分を脅かす小沢と組むわけにもいかず、身動きが取れない状態です。それゆえ、空き缶(=菅)と呼ばれるていたらくです。
 政権が行き詰って来年3月までには崩壊というのが以前の菅政権に対する予測でしたが、事ここに至れば、そうはならないような気もします。つまり、自民の郵政選挙後の状況とまったく同じで、選挙での貯金を4年間使い続け2013年の衆院議員任期切れで民主党崩壊という予測が一番正しいように思えてきました。
 菅内閣にとって小沢排除が一枚看板です。これは裁判が続く限り有効な看板であり、2013年夏まで続く可能性があります。そして日本にはバブル崩壊後の「失われた時代」がそれまで続くことになります。
 そんなわけで、3年後の日本は現在よりも悲惨な状況になっていることが予想されます。
 社会民主主義的政策は資本主義が危機に陥った時に発動される、いわば危機管理的政策です。このまま雇用の低迷が続き、それが拡大する以上、将来の日本が社会保障といった社会民主主義的政策を取らざるをえないのは明白です。
 小泉=竹中路線といった新自由主義的政策が復権する余地は、このように経済と雇用が疲弊した日本にはもうないと言っていいと思います。
 であるならば、2013年までに民主党内の小沢派が決起するか、長妻議員といった菅派の良質な部分が2009年マニュフェストへ戻れと動きだすか、だけが焦点となります。
 戦前の日本の政治家は軍部と組むことによって政党政治を崩壊させファシズムと敗戦への道を歩みました。そして今、御厨東大教授が朝日新聞のインタビューで警告したように、今日の政治家は、現代の軍部たるマスコミと組むことによって、政党政治の機能をマヒさせています。少なくとも、もっとも良質な部分である小沢派を封じ込めるためにマスコミが利用され、その政策の実現を阻止している。残るのは、敗北から全く学ばない自民党と、学会の現世利益政策に毒された公明党、いまだ小泉=竹中路線のみんなの党くらいです。これらはどれが与党になっても日本に住む人々の利益にならないのは明白です。
 その意味で、現在のマスコミの小沢氏に対する対応はまったく犯罪的なものです。もっとも、彼らは日本がどうなろうと、自分たちの会社の利益が守れればそれでいいのでしょう。日本に住む人間の過半数がそれに気づくまで、その姿勢は変わらないのでしょう。
 それとおまけに言っておくと、石原都知事の4選出馬に絶対反対です。都民のためじゃなくて、自分と自分の家族のためだけに政治をするジジイは早く辞めろ!