パック・イン・ジャーナル

 今日のパック・イン・ジャーナルで2つ面白い話がありました。
 1つは民主党参院での敗北分析。
 まず、民主+自民で95議席諸派で11議席、社会+共産+公明で15議席という予想は当たったことをテレビ朝日コメンテーターの川村晃司が指摘しました。民主、自民で勝敗が分かれたのは、すべて1人区の結果だったと指摘。
 その後を受けて、作家の石川好が、ここで民主党が8勝21敗になった理由として、日本の1人区地域は、いわば、日本における一国二制度のようなもので、「3K」で食っている。3Kというのは、「公共事業、公務員、米」であり、この地域は自然環境などもあって、複数区地域のように恵まれていないため、複数区が資本主義だとしたら1人区は社会主義国みたいな状況にあると説明していました。
 もちろん、このような公共事業のシャブ漬状況を作り出したのは自民党が自らの集票組織として建設団体を育てたためです。そして、輸入重視の農業政策によって、その公共事業依存体質をより深刻にした。
 しかし小泉時代に公共事業が減ったため、そのうまみはなくなり、自民党支持は減少、その期待が民主党民主党に向かい、昨年の参院選挙において、この地域で勝利できた。 小沢前幹事長は、こうした地域事情に精通していたいため、選挙に向けて、必要な公共事業を地方に配分することを行ったが、枝野幹事長に交代してから、そうした配分はなくなった。そうなれば、それじゃあ自民党という感じで、支援団体は自民に振れたという按配です。
 これに加えて、選挙に素人の枝野の資金配分で、重点地区の候補者に渡すべき資金が、支部に配分され、支部はその資金を来年の統一地方選に向けて金庫にしまったなどの失策が後押しして、1人区での敗北をもたらした、という説明です。
 2つめは、衆院での与党議席占有率を2/3にして、次の国会を乗り切るという作戦です。亀井が、小沢の後押しなどもあってと説明されていましたが、工作しているのが、社民党との統一会派づくりで、それが実現すれば衆院で、ちょうど2/3の318議席を確保できるというものです。
 そうすれば、国民新党は郵政法案の可決が可能で、社民党は労働者派遣法改正が可能となる。両党にメリットがあるという内容でした。福島瑞穂は野党としてやろうとしているが、党に戻せば普天間以外の争点もあるので、この連立は可能性があるということでした。
 第1の論点について、民主党の個別所得補償は、現段階ではあまりうまくいっていないということを感じました。それは雑誌『世界』8月号の読者投稿にあるように、10ヘクタールにつき1万5千円では、大規模農家は潤っても零細農家はやっていけない。どうせやるならアメリカの3割、フランスの7割といった、農業所得に対する国家補助が必要だ、という農家の実感を読んだからです。
 日本が本当に食糧の自給化、日本食の輸出に向けたブランド化を行うのであれば、これは避けて通れない問題です。同時にこの政策は、東京一極集中という旧政府の経済政策を見直す作業でもあります。
 もちろん、小沢、亀井、田中前長野県知事の主張するように、コンクリートを減らしても老朽化した橋などの改修、川の浚渫など、本当に必要な業務を配分することによって、地方を経済を支えることも、必要かつすぐに役立つ方策です。短期長期両面での作戦が求められるわけです。
 こんな状況でいきなり消費税アップと言われたら、それはどう見ても中央の発想で、疲弊した地方の人には「何言ってるの?」という反応にならざるを得ない。この部分は、同番組でも指摘された点です。
 第2の論点について、小沢氏は何もしていないように見えて、ちゃんと必要なことは手を打っているという感想をもちました。もちろん、これは菅内閣の新たな連立を手助けすることではない。あくまで、そうした菅一派の動きには、利用されないために黙る方針を維持しながらのことです。
 現実の政治化の動きって、なんか面白いですね。でも、僕は、断固、小沢支持です。
 同じ踊るのでも、構造を理解して踊るのと、理解しないで踊らされるのは、ぜんぜん違うと思います。そして、政治的態度表明とは、常に、完璧を求める行為ではなく、よりよいものを選択する行為ですから。
 政治的言明と科学的言明の峻別については、次のブログで書く予定です。
 じつは、田中宏和丸山真男の思想がわかる本』(2007・秀和システム)を、今日読みました。面白くて一気に読み終わりました。この感想を明日書く予定です。