みんなの党は八ツ場ダム建設推進派−消費税憎しでみんなの党を支持する奇怪

 昨日の『日刊ゲンダイ』2面は、天下り批判1点攻めのみんなの党が、実は比例区で八ツ場ダム建設推進派の上野宏史を擁立している事実を報道しています。

 「みんなの党は群馬を拠点とする比例代表候補として、上野宏史氏を擁立しました。実は彼の義父は八ツ場ダム推進の急先鋒として知られる建設官僚OBの上野公成・元参院議員。娘婿の宏史氏も八ツ場ダム推進の立場で、地元建設業者がポスター張りをするなど応援に回っています。……」(地元関係者)
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 実際、選挙区選でも「選挙区は中曽根、比例区は上野」と呼びかける自民党福田派がいるなど、みんなの党自民党は一部で二人三脚を組んでいるから驚かされるのだ。
 −-2010年7月9日付『日刊ゲンダイ』2面「仰天!! 群馬では「みんな」と「自民」が選挙協力−八ツ場ダム建設推進で二人三脚」

 八ツ場ダム建設推進を叫ぶ建設業者には、なんと174人もの国土交通省天下り役人がいること、これはすでに『日刊ゲンダイ』で報じられたことです。そして、このダムは建設すること自体が環境破壊につながる、全く有害無益のものであることもすでに報じられています。
 そうしたダムの建設推進派候補者をみんなの党が擁立する。しかも自民と一緒になって。どこに天下り批判があるのでしょうか? まったく二枚舌と言わざるを得ない。

 理念的に一致するということで、ブログ『世に倦む日々』を以前紹介しましたが、そのブログは言います。

6/27には枝野幸男みんなの党との連携に意欲を示す発言をして、マスコミに記事に書かせている。民主党執行部の本音は、政策的に対立するようになった国新党を切り捨て、政策が一致するみんなの党を連立パートナーに組み替え、過半数を確保する選択だろう。だが、私の予想では、みんなの党公明党は簡単には連立話に乗らない。連立よりねじれの政局でのキャスティングボートの立場を狙うはずだ。参院過半数割れしても、民主は衆院で安定多数を持っていて、政権運営にどこまで関与できるか不明であり、特にみんなの党は、衆院解散総選挙が一つの党略のターゲットになっている。ここで慌てて連立を組むより、野党のまま解散に追い込んで党勢拡大を目指した方が得策だ。
 −−2010年7月5日「ポジショニングマップ − 3つの政策グループ、2つの勢力グループ

民主と自民が合計で95議席も取る事態は、絶対に避けなくてはいけない。現有は民主が54で自民が38の合計92議席。この議席を上回らせてはいけない。確実に下回らせることが必要で、両党で90議席を割らせる必要がある。
 −−2010年7月7日「星に願いを、消費税増税阻止の民意を、民主・自民の現有割れを」

 小沢の味方をするために、『世に倦む日々』の著者の主張のとおり、現執行部での選挙の敗北という選択肢を以前支持したことも、以前の私はありました。
 しかし、もし今、民主党過半数を取れなかったとしたら、それこそ他党との連立協議に入るだろうし、そのとき理念的に相容れない小沢派は排除され、それこそ菅派と自民との大連立になる可能性がある。そうなれば、それこそ、昨年の選挙からの大後退にならざるを得ない。かりに、みんなの党と組んでも同様です。上に引用したように、みんなの党は選挙戦を混乱させるでデマゴーグ・ペテン師でしかないのだから。
 一人区での民主苦戦が伝えられています。しかし、民主がダメなら自民なのでしょうか? それこそ、これまでの地方疲弊をもたらした自民党の政策に対して、現自民執行部は何の反省もしていません。当然、何の政策変更もしていない。
 消費税10%を福祉に充てるとか言っていますが、そんなものなぜ信じることができるのでしょうか? 公約を裏切るのは自民のお家芸です。
 いま民主に対して叫ばれている公約違反は、すべて自民に対しては、それ以上、10倍以上に当てはまるものです。『世に倦む日々』の著者は、「民主を阻止し、自民を阻止することによって、菅の消費税10%を阻止する」と主張しますが、それは八ツ場ダム建設推進のみんなの党の躍進によってではないはずです。
 沖縄の有権者にしても、基地に反対するのなら、その選択肢は、絶対に基地推進派の自民党であってはならない。民主が立たないのなら共産党社民党系の候補者であるべきです。みんなの党ですらありえません。
 私はここで、民主党参院過半数獲得こそが、唯一の解決策だと確信しました。そうなれば、菅派対小沢派の戦い、つまり新自由主義派対社会福祉派の戦いは党内政治になるわけです。八ツ場ダム建設推進のみんなの党や、それこそすべてを昔に戻したい自由民主党の出る幕ではない。教祖様と一緒に地獄までついていく公明党も同様です。
 もし、いま、政局に混乱が生じれば、政官財報の鉄の四角形、特にマスコミは、小沢外しに躍起になるはずです。そして、ますます事態は旧守派の思いどおりになることを私は一番懸念します。
 今回の選挙戦でも、民主党がこれまでやってきた成果やこれからやるであろう諸改革に、マスコミは全く目を閉じています。そして消費税に問題を特化している。
 その理由は、国民の利益ではなく、マスコミの独占利権を確保するためのものです(クロスオーナーシップ規制と電波帯域のオークションを阻止するため)。そこに正義はない。
 これを変えられるのは、民主党共産党社民党だけと確信するものです。