2020年の日本政治と電気自動車

 菅首相の消費税10%議論の開始について、これが議論だけならいいけど、参院選挙での民主党の勝利によって、消費税の10%引き上げを有権者が認めたと思われたらたまらないというのが、民主党支持者の正直な気持ちなのではないでしょうか。
 とすると投票行動は、この消費税引き上げを明確に否定している、国民新党共産党社民党民主党票が流れるというトレンドになるのかと思います。あるいは亀井の言うように、菅が1人で言っても、上げられっこないという判断で民主党に投票することもありえます。
 民主党議員は、菅の消費税引き上げ発言に対して、選挙に勝てば引き上げる口実になるので、いまは明確に反対するのではなく、黙認といった感じに、結局はなると思います。
 そんなわけで、参院選挙自体の結果は後回しにして、選挙後の政治の動きを予測したいと思います。
 選挙が終わって民主党内小沢派議員がどれだけ当選するかによって、その後の政治は変化する。参院選挙によって自民党は消滅し、日本の政治は小沢派と反小沢派によって形成される2大政党の競争の時代になると予想します。
 マスコミ=官僚=検察という黄金のトライアングルによって世論が操作され、小沢=鳩山政権が崩壊した。その結果が菅政権です。
 そもそも、「政治と金の問題」など、自民党汚職議員や官房機密費の私的流用問題としてはあるとしても、民主党の問題ではなかった。だから自民党が追求すればするほど、へそが茶を沸かすほど、片腹痛いものでしかありませんでした。
 しかし、有権者はコロッとだまされた。そして、天下り特別会計の問題を改革することなく、税収を増やすという自民党とさほど変わらない菅の政策に帰着した。普天間問題をはじめとする在日米軍基地問題も、自民党とさほど変わらない。今の民主党には、昨年の公約が少し残るだけで、それだけが自民党民主党を区別するものです。
 これらの点に関して、菅の取り巻きと、小沢の主張とは大きく違うものです。消費税の引き上げはせずに行政改革をする。対等の日米関係を求める。これが小沢=鳩山ラインの主張でした。
 菅の態度を、政権発足当初の敵をつくらない作戦で、これから変わるという好意的な見方もあります。そうであってほしいとは思いますが、同じくらい財務官僚に丸めこまれた結果である可能性もある。だからこそ、全新聞=TV局によるメディア・ファシズムの危険性を主張せざるをえません。
 そう、ここでするのは、政治の予測でした。9月の代表選をめぐって、民主党は小沢と反小沢で分裂する。自民党をはじめとする野党は、そのとき、無視できるだけの小議席数になっている。つまり参院選挙は民主党の圧勝で終るということです。そのあとは、小沢派の政党と反小沢派の政党への分裂による2大政党制になります。このとき、小沢派はより社会民主主義的政党になり、菅派は新自由主義的政党になる。マスコミは小沢派を叩く。なぜなら、彼らは、官僚と同じ既得権益を守ろうとする抵抗勢力だからです。日本の奴隷化を志向するアメリカ政府も同様でしょう。
 唯々諾々と騙されることを有権者が是とするか否かが、その時の政局を左右することになります。いずれにせよこの2つの政党による、10年から20年ごとの政権交代が常態となり、ヨーロッパ並みの民主主義が確立されるということになります。小沢=鳩山の失脚によって有権者は、すでに大ダメージを受けた。だから、そんな政治がいつまでも続くとは僕は思っていません。それでこんな結論となります。

 2つめの話題は、電気自動車です。2020年の日本を走る自動車は、ほとんどが電気自動車になっていると僕は思います。これは、レコードに対するCDの時のような劇的な変化になる。
 問題は価格なのですが、中国、インド、韓国が低価格の電気自動車を作り始める。本体価格が安ければ、維持価格が滅茶苦茶安い電気自動車が普及しないわけないですよね。このとき、日本の自動車産業は一方的に押されるのかというのが大きな問題です。
 これに対して一言で答えるならば、たとえて言えば、今のノートパソコンのような住み分けができると思います。つまり20万円近くの価格帯のノートパソコンと、ネットブックと呼ばれる5万円周辺の価格帯のノートパソコンといった住み分けのイメージです。ノートパソコンはCPU等でこの価格差が出るのですが、1充電当たりの走行距離やその他車としての機能の差が、この違いを生み出すのだと思います。日本や欧州が前者のノートパソコンに相当する電気自動車を作り、中国、インドが後者の車を作るという感じです。

 10年先が見えていれば、いま僕らが取らなければならない、諸選択も見えてくると思います。