サム・ペキンパー監督作品『ガルシアの首』『戦争のはらわた』

 サム・ペキンパーの監督作品は、クリント・イーストウッド監督作品にはずれがないのとおなくじ、どれを見ても面白いと感じます。
 そんなわけで、CSのTV放送局、ザ・シネマが特集した2作品を見ました。

 『ガルシアの首』は、ロードショー公開当時、キネマ旬報の賞など様々な賞をとったように、見事な作品です。前半は、うとうとしてよく覚えていないのですが、後半とラストの盛り上がりは半端じゃないって感じでした。
 最近よく思うのですが、フィリップ・マーローの探偵小説の言葉、「男は強くなければ生きて生きていけない、でも、やさしくなければ、生きる資格なんて、ないんだよなァ……」って感じを、体現しているような映画です(別に男でなくてもいいです。人間と置き換えてもいい)。
 「やさしさ」とは何かとは、また別に定義しなければならない問題ですが、サム・ペキンパー流に翻訳すると、男のロマン、男気って感じになるのかなとも思います。ともかくいい映画です。 

戦争のはらわた?Cross of Iron? [DVD]

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 『戦争のはらわた』は、ついさっき録画を見終わったところです。これは反戦映画です。暴力を通して男の美学というか、別の言葉でいえば、何が正義なのかといった哲学的問題を、わかりやすく語るサム・ペキンパー監督ですが、戦争にはそうしたロマンのかけらもないことをこの映画は示しているように、僕には思えました。
 でも、主演のジェームズ・コバーンは本当にかっこいい。共演する小隊メンバーも、敵役すら、みなよく演じられていて、映画自体の完成度も非常に高い作品です。
 こうした殿堂入りの名作と比較してはいけないのですが、いかに現代の多くの作品が、中途半端な意図で作成され消えていくか、B級映画好きの食指にもひっかからずに消えていくのかを思い知らされるという感じでした。ま、もっとも、作られたすべての映画が見るべき作品だとしたら、忙しくしょうがないとも言えるのですが。
 ともかく、この作品も、見るべき作品です。