「謹賀新年」

 まず経済情勢から。前々回の『パックイン・ジャーナル」で仕入れた情報なのだけれど、肝を冷やした先進諸国最悪のGDPの落ち込みの正体は、米国の金融危機を軽く見た輸出産業が設備投資を加速させ、在庫を蓄積したところで、金融危機が表面化したことによるということでした。それゆえ、在庫がだぶつき、輸出産業は全く生産できない状態に陥った。その在庫がさばけるのが夏、そして秋以降在庫調整が終わり経済状況は平行線をたどるだろうと予測できるとのことでした。
 ただ、これは米国・欧州の経済のより一層の悪化を織り込んでいないので、政府の対応次第では第二第三の落ち込みが来る可能性も残るような気がしますよね。

 実は年頭に2009年に起こることを予測しようと思って、1.3月末のドラクエ9発売、2.10月の衆議院解散、民主党=社民=共産党の連合政権の樹立を予測しました。この2つのうち、はずれそうなのは前者と思っていたら、発売延期になってしまった。でも次は出るだろうから、いずれにせよ楽しみです。
 さて、後者なのですが、衆議院議員の任期が切れるのが9月10日、そこで選挙となるので選挙は10月。この結果は、民主党過半数を獲得するところから始まります。自民党は総崩れになる。たぶん解散時の首相は麻生となる。
 ここでもう一つサブの予測もしていたのですが、麻生の支持率低下の対抗策として、自民は若くて人気の出そうな代役を密室で見つけるというシナリオです。ところが、この場合、自民の森・青木などは、それでもコントロールできる人間を選ぼうとする。そこで選ばれるのが石原という具合でした。自民黒幕が自信を持って進めた石原は、小泉時代でも明らかなとおり何らリーダーシップをとれる玉ではない。それを見透かした国民は、やはり選挙で民主党に投票する。それゆえ、民主の単独過半数獲得は不可避となります。
 代役は与謝野という話もあるけれど、彼は他の政治家と比べて常識人だとしても、中央官僚制度改革をする気は毛頭ない。それゆえの消費税増税路線なわけです。それゆえ国民の支持を得ることはできないから、結果はそんなに変わらないと思えます。
 さて、10月に衆議院単独過半数を獲得した民主党ですが、参院での過半数を持っていない。それゆえ、自民に手を突っ込んで参院での過半数を目指すが、民主党政権の短期終了を見込んだ自民党員は動かない。彼らにとって政権党は、それでも自民党しか想像できないからです。そこで、民主は全野党政権を目指さざるをえない。
 民主党はこれまでマニフェストに書いた官僚機構改革、財政改革を推進する。そして、それがある程度進んだところで、次に着手するのが、イギリス型の社会保障政策となります。これは、社民=共産にとって唯一飲める政策だったからです。
 その内容は、学校を卒業した若者が失業した場合、自活できるだけの失業手当の即時支給、低家賃住宅の提供。これは、他の失業者、退職者も同様です。そのなかで就労可能な者には、同時に職業訓練を義務付ける。医療は無料化。中高等教育も無料化の方向で機会均等に着手する。
 財政再建が進んだところで、それでも不足するこれらの費用は、すべて税金で負担することになります。それを、民主党による財政再建の成果を見た国民が支持するわけです。
 戦中戦後を一貫して支えてきた、企業を中心とした(メンタル面も含めた)日本型の社会保障制度は、小泉=竹中の新自由主義政策で崩壊してしまった。それに代わるものを民主党は用意せざるを得ない。たとえ小沢が過去のシステムを復活しようとしても、増大する失業者がそれを阻むからです。
 こうして将来の不安をなくした日本人は、そこそこの経済成長とともに、社会民主主義国家として先進国の仲間入りをするという構図になります。
 そのころには米国ドルに代わる基軸通貨として、日韓中の地域共通通貨の話も出ているかもしれません。それは、低迷する景気回復の起爆剤としての役割を担うはずです。北朝鮮政権は崩壊しているか、現状維持でしょう。中国はより民主化されているはずです。市場化は必然的に民主化をもたらすという見方を僕は持っています。その将来像が、シンガポールのような独裁政権だとしても、現状よりはよりましなはずです。僕はむしろ東欧、韓国あるいはロシアのような民主化を予測しているのですが。これは、特に数字の根拠を持っているわけではなく、中国の人口規模からして、シンガポールみたいにはならないんじゃないかというだけのものです。
 そんなわけで、僕自身の勉強の課題は、伊藤誠教授の著作の勉強となるのだと思います。社会福祉国家の次を見ないといけないですから。