「麻生は、やりぬけない」

 最近自民党のCMがテレビで流れていて、非常に不愉快です。
 なにやら「麻生がやりぬく!」みたいなことを言っていますが、この言葉は、すぐに嘘だとわかるからです。
 麻生を自民党総裁にしたのは、清和会(=町村派)の森元首相でした。それに青木といった自民党のボス連です。そんな麻生に何ができるというのでしょうか?
 麻生内閣を一言でいえば、次の選挙で与党が1議席でも過半数を上回れば、残り4年間に民主党を切り崩して、自民中心の政治を行うことができるといった思惑だと思います。そして、その政治内容は、安倍、福田内閣と同様に、これまでの自民党の権益を最優先し、それに問題が生じれば、天下りや政府系法人といった税金のダダ漏れをそのままにしたまま、増税で補うといったものになるのは、考えるまでもなく必然でしょう。
 こうした自民党の思惑を別にすれば、はたして仮に与党が僅差で野党に僅差で勝っても、その思惑どおりになるのでしょうか? それは疑問です。
 なぜなら、自民が勝っても民主は割れないと思われるからです。自民党を旧態依然のままにすることが麻生内閣の真の目的なら、議員汚職や年金、後期高齢者医療問題、その他の問題の抜本的解決は先送りされるはずです。そして、それがゆえに、野党の追及のネタは尽きない。結局、麻生は、安倍、福田とおなじ末路をたどらざるをえないと考えられるからです。
 そして、これは、はっきりいって時間の無駄です。ですので僕は、今回の選挙は民主党が勝つべきだと考えます。警察の取調過程のビデオ録取義務化とか、後期高齢者医療制度の廃止、消された年金データの徹底的な洗い直し、年金制度の一本化、天下りの全面禁止、これらは民主党マニフェストの一部です。これだけでも、画期的な内容です。
 別の視点から見ると、アメリカが今回の金融危機を乗りえても、ドルの相対的地位低下の流れは変わらないと解説されています。その時に有効な方策は、アジアに安定した消費の極を作ることだと言われます。だとしたら、医療、年金などの社会保障の整備が絶対に必要です。また、普通に働く人々、事情があって働けない人々の人並み暮らせる収入の保障が同様に必要です。これらは広くいって同じ福祉問題と言えるでしょう。でなれば、だれが金を使うというのでしょうか? 対外政策としてはアジア関係諸国との調整も必要だし、それに対して、極右を集めた麻生内閣は最悪の選択と言えます。
 よく保守派の論客は、「我々が目指すのは出発点の平等であって、結果の平等ではない」といいます。しかし現在の焦点は「結果の不平等が出発点の不平等すら生み出している」という厳しい現実です。それを意識してか、保守派の論客も最近は、前者の主張をしなくなりました。
 自民党は、小泉以来、清和会が牛耳り始めてから、左バネを使えなくなった。経世会(=旧橋本派)には、少なくとも民族資本を守るという政治姿勢があって、当時は、僕も金持ち優遇と批判していましたが、現在の清和会政治のように、日本の富をアメリカに売って、一部の輸出産業と軍需産業だけが肥え太る状況と比べれば、まだましであったと言わざるをえません。
 もちろんそれが政治腐敗を生みだし、小渕首相のバブル崩壊後の無駄なばらまき政策を生み出したことも事実です。その意味でも、麻生流の選挙目当ての一時的なバラマキでなく、民主党の主張する抜本的な予算配分の見直しが必要になります。補正予算での緊急措置的な対応は必要だとしても、それだけで解決することは不可能だと考えます。
 戦前の日本軍と軍事産業天皇の権威とそれを可能とした大日本帝国憲法を利用して、自らの肥大化と富の獲得に走りました。現在、同じグループは、アメリカの権威を利用して、日本人の血と金を搾りとりながら、自らの権力拡大を目指しているように思えます。そしてその主張(一部の国の軍事的脅威など)が、じつは虚妄であり、官僚主義と致冨欲求が本当の目的であることが明らかであるがゆえに、いま必要なのは、政治のかじを大きく切りなおすということになります。
 一部の経営者を肥え太らせるために、奴隷のように働く現在の現状を変える必要がある。そのためには民主党を中心とした野党に新しい政権を作らせる必要があるというのが、僕の主張です。麻生に全く期待できないとしたら、小沢のほうがはるかに明るい可能性が見出せます。
 ま、いたちのような自民党厚生労働大臣と、民主党長妻昭議員とどちらが信頼できかと聞けば、答えは明らかなのですが。