マクロスF 第11話


人はかなわないから夢を見るのか
かなわないから夢なのか


マクロスF』第11話を見ました。面白かった。
http://www.macrossf.com/

引用したのは、この第1話のセリフです。
よく「かなわない夢など見るな」などというけれど、その言葉自体、夢の持つ実現可能性の低さ、それゆえに貴重な存在であること、それに向けて努力することの高貴さなどを表わしているように思えます。
この劇中のモノローグは第1話の主題につながるものでした。

もうひとつぐっときたのは、主人公に会えなかったヒロイン、ランカが持ってきた紙袋から出したクッキーでした。主人公への誕生日プレゼントです。
そのクッキーの形は、飛行機だった。初めて作ったらしく少し焦げてる。
ひとつをリスに似た小動物にあげて、もう一つとりだしたのも飛行機だった。ここから彼女が作ったクッキーは、すべて飛行機の形であることがわかります。

今回の物語は彼女と主人公のすれちがいを軸に展開したわけですが、実は、ヒロインは彼の夢、パイロットになることを、すごく良く理解していることを象徴していることが開示される瞬間でした。
恋って相手のことを観察してよくわかることから始まるものであるし、同時に、観察するばかりで直接手を出していないヒロインの奥手な性格すらも暗示しているいろいろな意味でよくできた演出です。
ともかく、このクッキーのシーンでぐっと来てしまいました。物語の最後のクッキーに飛行機を空に掲げて、その飛行機を見上げて「ハッピーバースデー、アルト」と言うセリフも、やってくれるって感じでした。

実は『マクロスF』は今回初めて見たもので、旧シリーズもそんなに注目して見てはいませんでした。ただ、ゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズでこのアニメはよく知っていました。
まず、マクロスはアンチガンダムの系譜であること。
先日ケーブルで見始めた、同じスタッフによる制作と言われる『創聖のアクエリオン』が面白かったので、これもありかと思ってみることにしました。この手のロボットアニメとは、本来醜いはずの戦闘シーンをいかにかっこよく描くかに腐心するものという発言を聞いたことがあります。その意味では、ガンダムが優れている、いや違うといってもあまり意味のないことで、物語自体の面白さが中心なのだろうと思います。もちろん戦闘シーンのかっこよさも含めてです。
その意味で、マクロスFもいいなと思いました。

今回の物語は、主人公が自らの誕生日という同じ日に、家族、恋人、自分の夢の3つのうち一つを選ぶ選択を迫られる話でした。物語の骨格が明確であり、必要以外の表現を抑えるという意味で過不足のない優れた演出でした。こうした理由で物語としてよくまとまった美しい仕上がりになっていたように思います。久しぶりにアニメ見たせいもあるのですが、なんか感動してしまいました。