衆議院議員選挙その2

 投票日が3日後に迫ったので、その前に2007年7月12日の日記の出典を記しておきたいと思います。

なぜなら、簡保郵貯という日本の金融資産をアメリカ系資本の傘下に置くことが郵政民営化の本質だからです。

出典:森田実アメリカに使い捨てられる日本―日本の真実を国民に訴える!』(日本文芸社・2007)158頁。

アメリカに使い捨てられる日本

アメリカに使い捨てられる日本

 ウイキペディアでは、選挙予想が外れたため「逆神」と紹介されている森田さんですが、その分析自体を否定する必要は全くないと思います。この本では、他にも、いかに小泉・安倍改革がすべての政策分野において日本人を痛めつけ、民族資本のアメリカ売りをもたらしたかを指摘しています。

国の借金問題を財務省は盛んに宣伝し、その宣伝のためには、まるで貸しはがしのようなかたちで、夕張市を破産に追い込む政策まで続けています。しかし、現実には、今年の国債赤字増加額は7兆円で、かつてないほど財政は改善に向かっているのです。対GNP比を見れば、むしろ昨年より改善しているというのが実態です。

出典:2007年6月28日『日刊ゲンダイ森永卓郎・この国の危ない行方「日本の財政は本当に圧倒的に深刻なのか?」。

 該当部分を引用しましょう。

 「例えば債務残高が前年度と比べてどれだけ増えたかをみると、04年度79兆円、05年度45兆円、そして06年度は7兆円に過ぎない。
 しかも、財政が悪化しているかどうかは、借金の残高のGDP比が上昇したかどうかで測られる。そこで債務残高のGDP比を計算すると、05年度は1.64倍だったのに対して、06年度は1.63倍に下がっているのだ。つまり日本の財政は過去最悪どころか、ついに健全化の方向に歩みはじめたのだ。」
 このあと森永氏は、債務残高834兆円のうち101兆円は政府短期証券であり、それは03年以前に為替市場で行った円売り・ドル買い介入で保有した米国債を保証するために発行されたもので、政府の金融資産であることを指摘したうえで、日本金融財政研究所の菊池英博所長の推計を紹介しています。
 06年末の国の債務は832兆円であるが、そのうち外貨準備100兆円、内外投融資170兆円、社会保障基金260兆円を合計した530兆円が国の金融資産であること。それゆえ、国の純債務は302兆円であり、ヨーロッパ並みであることを指摘しています。そして、この金額は厳しいものであっても、決して破綻状態ではないことを指摘しています。
 それゆえ、財政危機の宣伝は、消費税アップを狙う財務省プロパガンダに過ぎないと言い切っています。

 僕は、米国への援助のためと前回の日記で書きましたが、安倍の狙いはむしろ、企業減税を埋め合わせるための消費税アップであると考えるべきだと思いなおしました。財政に問題があるのなら、その負担はすべての日本人が負担すべきものでしょう。それをせずに、逆進性の強い消費税アップに訴えるのは、いかに安倍が、自分の取り巻きである財界トップだけに目を向けているかを示すものです。
 そしてこうした状況において、国民に配慮しているポーズすら示せない安倍政権は、本当に末期的状態であることを如実に示しているように思えます。

 加えて言えば、選挙も終盤戦になり、公明党創価学会員のタレントを総動員して選挙応援にあたらせているといいます(今日の『日刊ゲンダイ』情報)。でも、果たしてこの政党は民主的な政党なのでしょうか? 平和と福祉が党是だといいます。でも、その党是の前に、組織維持と政権党内への残留が最優先課題としてあるのではないでしょうか? だから、平和と福祉に反する自民党をあくまで支持しようとする。この政策が、創価学会の実質的支配者である池田大作によるものであるのなら、それは創価学会員の判断に基づくというより、池田氏個人の意思にすべての学会員が従うという、極めて封建的な、反民主主義的組織と言わざるをえません。というか、宗教組織ってどこでもそんな傾向があるし、特に創価学会は個人独裁的傾向が強いというべきなのでしょう。それが、政教分離の原則を導く理由でもあります。
 創価学会員個人は何らかの利益を、この宗教にかかわることで得ているのでしょう。幻想であろうと何であろうと、個人の感じる利益は主観的なものですから、それは否定しません。でも、学会員でもない僕らが、何で彼らの個人的利益のために自分たちの生活を犠牲にしなければならないのか。まったく理解できません。ましてや僕ら自身の命をです。自民党の福祉政策切り捨てによって、毎年日本国内で100人近い人間が餓死している現実を学会員は知らないのでしょうか? それとも、そんなものは池田氏の意思に比べれば取るに足りないものなのでしょうか? だとしたら、そんな彼らの常識すら、僕らは疑わないわけにはいきません。

 こうした状況を変えられるのは、3日後の日曜日(あるいはその期日前投票)に選挙に行く、僕ら一人一人の意思だけだと思います。