参議院議員選挙

今回の選挙の争点はきわめて単純明快です。
それは、安倍政権の継続を許すか許さないかの1点にあります。
安倍を許さないのなら、選挙結果は与党が過半数を取れる64議席ではありません。少なくとも、この数から7議席を引いた数、つまり、与党が過半数割れした後に、野党から一本釣りする候補者、すでに与党への鞍替えを表明している非改選議員2名と、国民新党4名を加えた数以上の勝利を野党が獲得する必要があるということです。
選挙後の政権は3つに分かれます。1、安倍政権の継続、2、別の自民党議員を首相とした政権、3、民主党の小沢を首相としたを政権の3種類です。2と3を実現するためには、必ず与党は57議席を割る必要があるということになります。
現在の野党の選挙協力を見れば、国民新党が自民公明連合政府に組することはありえないように見えますが、過半数確保のためなら何でもするのが安倍の本質と僕は思うので、郵政民営化の一部を中止しても、安倍は国民新党を抱き込みにかかると思います。なぜなら、簡保郵貯という日本の金融資産をアメリカ系資本の傘下に置くことが郵政民営化の本質だからです。それが目的であれば、アメリカですら行っている郵便配達業務の国営化については、引き返すことが可能だからです。この譲歩を使って、国民新党を抱き込む余地があるわけです。それでも、郵政民営化の本質は変わらないからです。
だから、安倍継続を阻止するためには、野党に絶対的大勝をもたらす必要があるように思います。


僕は、安倍は年金5000万件が空に浮いた問題が発覚した時点で、辞職すべきであったと考えます。なぜなら、公金を預かるという責任は、彼ら与党政治家が考えるより、はるかに重いものだからです。これは右翼とか左翼とかいう以前の問題です。年金の処理ミスや社会保険庁職員による年金基金の不正使用はこの問題にあたります。
赤木農林大臣などの事務所経費といった議員歳費の不正受給は、税金という公金の横領にあたるわけで、これも公金の不正使用です。
つまり、公(おおやけ)の金を、政府当局者は自分の金と完全に勘違いしている点が、今回の選挙での一番の問題だと感じるのです。
万が一、もし安倍政権が選挙後の一本釣りも含めて、参議院過半数を制することがあれば、安倍は自分の政策が支持されたと表明し、これまで通り、いや、これまで以上の態度で、汚職議員をかばい、年金の不正使用を見過ごし、ザル法によって天下りを容認し、政治資金規制をないがしろにするでしょう。インサイダー取引をした日銀総裁を使い続けることも明らかです。
もう一つ付け加えると、この秋に答申される米軍を守るための武器使用を合憲とする憲法9条の解釈の変更もストップがきかなくなる。この秋という時期は不思議な話です。自民党改憲は3年後のはずでした。つまり、それを待たずに、自衛隊の海外派兵、そして、米軍と一体化した中での武器使用を早期に実現するための答申であると考えられます。そして、この時期にその具体的な実現で可能性があるのは、安倍が主張し続けたアフガンへの派兵だと考えます。今回の選挙で、政府与党が参議院過半数を制することがあれば、再び強行採決で、アフガンへの派兵、そして武器使用が強行されるはずです。それはすなわち、日本がアメリカのために戦争状態に突入することを意味します。60年の禁を破り、しかも、アメリカのために戦うわけです。
このようなアフガンへの参戦はいわずもがな、これまでの安倍政権を見ればわかるとおり、年金問題は無視され、アメリカのイラク戦争経費を肩代わりし、天下り官僚に払う給料を確保するために、経済に大ダメージを与える消費税引き上げまで、安倍は行うと考えるべきだと思います。なぜなら、国内需要がこれだけ落ち込んでも意に介さない安倍が消費税の引き上げを躊躇する理由はまったくないからです。
国の借金問題を財務省は盛んに宣伝し、その宣伝のためには、まるで貸しはがしのようなかたちで、夕張市を破産に追い込む政策まで続けています。しかし、現実には、今年の国債赤字増加額は7兆円で、かつてないほど財政は改善に向かっているのです。対GNP比を見れば、むしろ昨年より改善しているというのが実態です。
ですから、こうした時期に消費税の値上げを行い、なおかつ福祉予算の増加を行わないとしたら、その目的は米国に貢ぎ、看板を掛け替えるだけで、依然として税金で給料を払う独立行政法人への天下り官僚に貢ぎ、それを国民に隠しながら安倍政権の継続を意図する目的以外のなにものでもありません。


安倍は、昨年9月に年金システムのミスを自覚していながら、支持率が下がるまで何もしなかった。だから、今回の選挙という審判で、どんな形でも与党の過半数を確保したならば、自分は支持されたと居直るはずです。そんな姿を僕は見たくありません。もちろんアメリカのために死ぬ自衛官はもっと見たくない。だから、今回の参議院選挙での反与党を強く訴えるものです。
「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対に腐敗する」この有名な政治の言葉を体現しているのが今の日本政府(あるいは北朝鮮政府)だとしたら、政権交代しか処方箋はないと言い切れると思います。日本には少なくとも、ある程度公正な選挙があるのですから。広告会社のイメージ戦略にだまされる愚を犯してはならないと思います。