突っ込み所を間違えました

 以前、 ぱくと名乗る方から書き込み(2007年3月27日のレス)があり、その内容が安倍政権擁護だったため、反射的に反対の意見であるとレスしてしまいました。
 でも、本当に突っ込まなければならない場所は、全く別のところにありました。
 ぱく氏いわく、

 就任前からの現在までの、安倍バッシングの発信源、策源地は朝鮮総連である。
 その影響下、あるいは共闘関係、もしくは利害関係を共にする、日本の左翼団体、活動家、左派言論機関及び記者がそれに呼応、雷同しさらにバッシングを広めている。
 北朝鮮は日本の経済援助がのどから手が出るほど欲している。日本の経済援助さえ手に入れば、軍部を押さえる事も国家の破綻、飢餓、暴動、全てを押さえる事が出来るからだ。
 拉致問題に関わる日本の強硬派議員の中で最も、権力の中枢にいたのが安倍晋三である。また最も日本国民のナショナリズムを煽り立てうる素質を持っているのが安倍晋三である。
 拉致問題が国内で沸騰するたびに、朝鮮総連により安倍バッシングが起こる。

 ・安倍晋三首相就任直前に流れた「統一協会祝電」
 統一協会安倍晋三との関係をリークしたのも朝鮮総連である。これは日本の純粋右翼を安倍支持から遠ざけるためである。朝鮮総連統一協会は過去の対立路線を脱却し、現在は良好な関係にある。朝鮮総連が在日ルートでシンパを協会内に送り込み育てているからでもある。
 安倍一族と統一協会の関係は自民党と「反共」で共闘していた関係から、現在に至っている。それを朝鮮総連は利用したのだ。これはマッチポンプに近いものがある。

 北朝鮮統一教会工作員を送り込んでいるという、ぱく氏の意見は理解しました。
 では、その関連団体に祝電を送ったという安倍の正体とは一体何なのでしょうか?
 ぱく氏は原理=統一教会勝共連合自民党タカ派たる安倍政権のつながりという過去の歴史を理由とされていますが、むしろ、北朝鮮政府当局と安倍政権はつるんでいると考える方が自然なのではないでしょうか?
 事実、ぱく氏は、北朝鮮政府当局と統一協会とのつながりを、ご自身の意見で肯定されているわけです。であるのなら、統一協会と仲の良い安倍は、北朝鮮とも実は仲がいいと考える方がより自然だと思います。その結果、安倍は、小泉訪朝の際に、何も情報を与えられなかった。与えたら、訪朝の成果が台無しになることを小泉と外務省は知っていたからでしょう。情報のリークまで心配したかもしれませんね。
 逆に、北朝鮮の強硬姿勢に最も利益を受けたのが、安倍政権でした。その発足の間際には、ミサイル問題で「北朝鮮に対してこわもてである」安倍というかたちで世論を誘導することができたわけです。

 実際、安倍政権の姿勢を支持するのは、アメリカ内ネオコン、中国内軍拡派、北朝鮮政府当局と考えるのが自然です。

 安倍が自己の主張を繰り返し、他国との対話を拒否し、北朝鮮核廃絶を遅らせれば、北朝鮮はより、核カードの値を釣り上げることができる。そして、安倍の対北朝鮮制裁は全く効果を上げていないし、これが続けば、北朝鮮政府にとって政治的敗北になる拉致被害返還を実現する必要もない。

 アメリカは、将来9条改憲がなれば、日本の自衛隊を米軍の意のままに利用できるし、それでなくても北朝鮮の脅威をあおることによって、米軍が日本にとって必要不可欠であることを強調する世論操作が可能になる。そして、その結果、信じられないくらい高額の米軍移転費用や思いやり予算を日本人の税金から引き出すことができる。将来的に、イラク戦争の経費をも日本の税金から引き出すことができる。

 中国軍拡派は、日本の強硬姿勢を理由に国防予算の増額を引き出し、その結果として政治力を強めることが可能になる。

 この三者に踊らされる形で、安倍は、日本の侵略戦争という過去の歴史をあいまいにすることが可能になるわけだし、ありもしない北朝鮮の脅威や中国の脅威を主張し日本の軍拡を推し進めることができる。9条改憲も可能になると踏んでいるわけです。

 誰が利用されているのか、利用しているのかは、明らかではありません。たぶん当事者は自分が他者を利用していると考えているのでしょう。でも、はっきりしているのは、この4者は、互いに利益が共通しているという点です。

 ですから、以下のぱく氏の意見は、読み替えて考える必要があります。

 おそらく参院選前にも何かしらの情報工作が行われる事だろう。
 安倍晋三が失脚し、一番喜ぶのは北朝鮮である。それは全く日本人の利益にはならない。」>>

 「おそらく参院選挙前にも、アメリカのネオコン、中国の軍拡派、北朝鮮当局による何かしらの情報工作が行われることだろう。
 安倍晋三が失脚しないことによって、一番喜ぶのはアメリカのネオコン、中国の軍拡派、北朝鮮の現政権肯定派である。そして、それは全く日本人の利益にはならない。}

 それは当然なんですよね。だって、税金をアメリカに払うのも、戦場でアメリカのために死ぬことになる自衛隊員も、結局帰国できなくなる拉致被害者もすべて日本人なのですから。

 ぱく氏の意見を支持するのが純粋右翼だとしたら、それは売国奴が正体だろうと思います。 僕からすれば、9条を支持し、米軍への協力を拒否する人々こそ、真の愛国者でしょう。でも、これは日本人の利益を擁護するだけでなく、北朝鮮アメリカや中国の国内で弾圧されている市民の利益を擁護することでもあります。だから、普通使われる愛国者とはちょっと違う意味、むしろプロレタリア・インターナル(労働者の国際連帯)に近い考え方だと思いますが。
 安倍政権が死に体になったのは、日本人にとって久々の朗報です。もっとも、あと1か月間に何があるかわかりません。マスコミ操作でいま一番力があるのは、アメリカですから。そのアメリカは、自国にとって利益をもたらす安倍政権を是が非でも擁護したいと思っている。それは、米兵の死者を恐れて核兵器を使用した第二次世界大戦末期と全く変わらない冷酷な国際政治の現実です。
 僕はぱく氏とは違った意味で、気をつけるべきであると主張したいと思います。