生徒諸君!

録画していたTVドラマ『生徒諸君!』第3話を見ました。このドラマでは初めて見た話です。
http://seitoshokun.asahi.co.jp/
その印象を一言で書けば、これ以上子供をおもちゃにするな、ということです。それは、この物語を批判しているのではなく、この物語の描く現実がリアルなものであると感じるからです。これまでの学園ドラマにない「冷酷な現実」が、確かに描かれているように思えました。
今、大人である僕らは、ある意味、最悪の現実に遭遇しないで生き延びた幸運な人々と言えるのではないかと思います。もちろんいじめとかいろいろな問題の経験はあるにしてもです。
でもその解決は、個々の教師とかいった目に見える「敵」ではなく、教育をめぐる環境にあることを僕らは知る必要があるように思えました。式典に日の丸を掲げて君が代を歌えばすべて解決といった、頭のいかれた石原東京都都知事や都議会与党をはじめとした地方首長や地方議員、旧教育基本法の生徒の人権を守り各自の発展を引き出す教育ではなく、中央政府による洗脳に基礎をおく新教育基本法を据えた安倍首相やその方針をおおむね受け入れた改正案を準備した野党民主党など、何もわかっていないといわざるを得ません。
このドラマは、そうした教育をめぐる環境の問題に肉薄しようとする意気込みが見られました。それゆえ、僕が支持して注目したいと思うドラマと感じたわけです。もちろん、本郷奏多堀北真希の演技は見ていて気持ちいいものだし、『大奥−華の乱』で運命にあらがう女性の演技で小学生にも注目されたという内山理名も、主人公の教師にふさわしい配役のように感じました。
子どもというのは選挙権がなく、ある意味少数民族的迫害から無防備な存在です。ですから、親が先ず守らなければならない。親のいない子供は社会や地域社会が守らなければならない。しかし、文部科学省という官僚機構、利用できるものはなんでも政治的に利用しようとする恥知らずな政治家どもに親が騙されるとき、子供は全く無防備になります。そんな例は、このドラマだけでなく、現実に子供のいじめによる自殺を経験した親が、真剣な意思で子供の敵(かたき)を討とうとするニュース報道で僕らは何度も見ているものです。責任ある政治家を選ぶことの重要性、そして、本当に真剣に子供のことを考える必要性は、冗談ではなく緊急に必要なものだと思えました。そうした問題の解決策は、安倍や石原の教育改革方針とは全く逆になるものと思わざるを得ません。
最後に、僕は、生徒たちの自衛組織である3TDを見ていて、マルコムXの黒人自警団を思い出しました。権利が侵害され、誰も救いの手を差し出さない社会において、彼らに残されたのは自衛しかないからです。たとえその方向が間違っていたとしてもです。