すべての反石原派は浅野史郎氏に結集せよ

 ずっと迷っていたのだけれど、今や、石原の再選を阻止することが、都民にとって最も重要であると考えました。そのためには、反石原の最有力候補者である浅野史郎氏に票を集める必要がある、と結論を出したわけです。
 石原氏の都政についてはさまざまな問題がこれまで指摘されてきました(雑誌『世界』バックナンバー参照)。ここでは僕の関心のある2点を指摘するにとどめます。

 1、東京都教育委員会君が代、日の丸指導の問題
 具体例として、以下の判例を掲げます。
 これは先日、都教組の指導は合憲であるという判決が出た、式典でのピアノ伴奏拒否に対する最高裁の判決文です。
 関心のある方はぜひ、全文をクリックして参照ください。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=34185&hanreiKbn=01
 新聞等で報道されたとおりですが、僕は、多数派裁判官の結論に反対した少数派裁判官、藤田宙靖の反対意を支持します(11頁8行目から)。それは、ここで東京都教員の良心の自由を否定するのなら、次に来るの、我々一般市民の良心の自由の否定に他ならないと考えるからです。
 こうしたくだらない低レベルの裁判は、石原が退陣すれば即座に中止されるものです。今、安倍首相や石原都知事の意図する教育改革で、学校の問題が解決すると考える人は、ほとんどいないと思います。むしろ弊害を引き起こすだけであると考えます。ですので、これ以上の石原路線の継続は百害あって一利なしと考えました。

 2、築地市場の移転問題
 こちらも、参照リンクを張ります。
http://www.jaes.sakura.ne.jp
 リンク先の専門家の意見を読めばわかるとおり、築地の移転先は、土壌を汚染された非常に危険な場所です。石原はこの移転を強行しようとしてます。今は選挙中ですから、しおらしいことを言っていますが、選挙が終われば自分の方針が支持されたとして、強引に進めるはずです。だって、安全な場所から汚染された場所へいどうすれば、その差益はべらぼうなものに上るからです。そして石原に次の選挙はない。だから、この選挙が終われば後は野となれ山となれ、なわけです。これを阻止するためには、石原の退陣が絶対に必要です。

 ここには掲げませんでしたが、書かなかったことの中で一番大きな問題は、石原の再選が安倍首相の延命をもたらすということです。であるなら、必ず石原は引きずりおろさねばならない。

 その理由を書きます。
 安倍はそのポーズと裏腹に、格差是正をする気は全くない。そして北朝鮮拉致被害者を救出する気持もまったくないことが断言できます。
 拉致問題に関しては、被害者の会は完全に見当違いの安倍支持をしてきたように思えます。なぜなら、そもそもあの5人の救出に関して、安倍は直前まで全く知らされていなかった。なぜなら、知らせたら障害になるからです。
 北朝鮮問題については、援助をてこにした、関与(援助)しながらの影響力行使と脱北者の難民としての日本受け入れなどの支援が最大の武器になると思います。脱北者の中には、かつて日本に住んでいた人も含まれるし、拉致被害者自身もいるかもしれません。そして彼らを通して拉致被害者の情報も手に入れることができるかもしれない。これは中国を説得すれば可能です。そして中国は、近代化のために諸外国の支持、特に人権問題での支持を必要としています。
 外交とは、一方的に自国の国益を叫べば実現できるものでないことは、小学生でも知っている理屈です。お互いにメリットがなければ、実現不可能なのです。この延長線上には、日本の支援(北朝鮮に対する戦後賠償)による、平和的南北朝鮮の統一が見えるはずです。中国による北朝鮮クーデターより、より極東の安定に寄与することは明白です。
 話を戻します。こうした可能性に目をつぶる政治家の姿は、拉致問題の政治利用を如実に示しています。ですから、今なら、安倍の意図することをはっきりと指摘できます。「拉致問題は永遠に解決しないでほしい。北には、できたらミサイルか核実験をもう一度してほしい。そうすれば危機感が煽られて自分への支持が高まるから」。これは、総裁選当時の安倍のはしゃぎぶりを見れば明らかなことです。
 核の脅威を強調しながら問題の解決には決して手を貸さないということ、それは(核問題だけでなく拉致問題も含めて)解決を決して望んでいない安倍の姿勢を如実に示しているものだとはいえないでしょうか。
 第2に、格差問題ですが、安倍に解決する意図はありません。
 安倍の意図することは、このまま資本家のための資本主義路線を継続し、格差を固定する。固定化された格差の中で、様々なメリットを与えて貧乏人を兵隊として雇う。そして、戦争して死んでもらう。これが安倍の意図することだからです。これは絵空事ではありません。現在のアメリカがそうだからです。
 そのためには改憲が絶対に必要です。先般の教育基本法改悪の過程でもみられたように、まず改憲のための国民投票法案を通す。そして、「自衛隊は実質軍隊なのだから、軍隊として認めましょう。そして、組織目的は日本の防衛です」と主張する。その際に、民主党改憲派を切り崩して、両院の2/3の票を確保し、改憲案を通す。
そして、こうした国民に受け入れやすい形で改憲案を提示し、国民投票での過半数を取る。
 一見、何ら問題がないように見えますが、次に来るのは、イラクやアフガンへの自衛隊(日本軍?)の派遣であり、ドンパチで一人でも日本兵が死ねば、安倍の目的は達成、というわけです。なぜなら、彼らは狂信的なまでに、外国で戦争ができる自国の軍隊を持つことにこだわっているからです。そして、自分たちは絶対に前線に立つことはないことを知っているからです。現在のアメリカ兵を見ればわかるとおり、別に貧乏な家庭に生まれたかった人は誰もいない。でも、生まれたから仕方なしに兵隊になっているわけです。彼らはどんどん死ぬ。でも、軍需産業はがばがば儲かる。軍需産業にとっては勝利すら問題になりません。負けさえしなければ、戦争の継続自体が、そのまま利益を生み出すからです。安倍はこうして産業界の支援を得る。国民は戦争を運命として受け入れ、反対す人は多数になれない、こんな構造を安倍は望んでいるはずです。
 自衛隊の軍隊化は、それだけでなく、極刑を上限とするスパイ防止法の成立や、国民の国防の義務化、思想統制も含むことになるでしょう。それは論理的に当然のことなのです。
 そしてその対極には、戦後60年間以上続いてきた、日本国憲法9条の下での平和的援助による全方位外交があり、そのため一人の日本人もこうした事態に対する懸念を持つことなく生活してきたという実績があるのです。
 ともあれ、こうした軍拡・戦前化路線を阻止するために、安倍の即時退陣が必要であろうと思います。3年半後の衆院議員選挙を待つのなら、その間の被害は甚大になると思います。そして、安倍退陣のためには、今回の選挙で自民党系を落とすのが一番早いわけです。

 共産党都知事候補者は理想的な人物です。彼らが浅野氏の問題点を指摘していることも知っています。しかし、もし共産党系候補が落選した場合、その票は、ストレートに石原支持票になってしまうことを、思い出すべきです。ほかの選挙もあるから候補者を立てたがるのはわかります。しかし、党利だけで、こうした経緯で、石原の継続を許すなら、それは犯罪的な行動だと思います。そして、党がそんな心配をしなくても、共産党支持者は、都知事選以外では必ず共産党の候補者、もしくはそれ以上にラディカルな市民派候補に投票するでしょう。ですから、共産党が今できることは、浅野候補と政策協定を結び、自らの懸念を晴らすことであると思います。
 イタリアの現大統領は、かつてのイタリア共産党員です。この違いを、日本共産党は、そろそろ気づいてもいい頃でしょう。もう長いことユーロ・コミュニズム路線(イタリアを中心とした欧州共産党の路線)をとろうとした党員をパージ(排除)してきたのですから。大切なのは、党の古い体質を守ることではなく、革命を成し遂げること、政治を変えることです。
 桜金造候補に投票しようとする、創価学会員にも呼びかけます。彼が落ちたら、その票は石原支持票になります。平和と福祉を真に望むなら、浅野候補に票を集めるべきです。僕は、美濃部革新都政時代の誇りを思い出すべきだと思います。あのとき、他の宗派はすべて自民党候補を応援していたのではなかったでしょうか? あの時の誇りを、もう一度持つべきだと思います。それこそが勇気というものだと思います。
 というわけで長文になりましたが、緊急の課題として、提起させていただきました。ご高配をお願いします。