『日刊ゲンダイ』2005年9月14日号

 もともと国民の関心は、年金や税制のほうが上で、郵政は下の方だった。(選挙で変わったのは)賛成派も反対派も郵政のことばかり話したからだ。小泉さんも「郵政」「郵政」って余計なことをしゃべらせなかった。みんな見事にひっかかった。小泉さんによる報道管制が敷かれたようなもんだよ。
(13日付『産経新聞』の森善朗へのインタビューを引用した『日刊ゲンダイ』からの孫引き)

 はい、見事に私も引っかかった。でも、冷静に議論をさばけなかった私の力不足のせいでもありました。
 選挙が終わって、10年後の郵政完全民営化(政府案)の話題は下火になりましたが、私は郵政民営化反対・現状の公社方式の維持を改めて主張したいと思います。この間、私の議論内容も相当ぶれたけど、最終的な結論は、ここに落ち着きました。
 国債発行の増加をストップできない小泉内閣は、郵貯簡保資金をそのままの規模で、民営化に持っていこうとしている。そして、ナショナルサービスを維持するため、現状で黒字なのに、赤字覚悟で将来民営化された郵政公社を支えていこうとしている。これは、仮に、地方切捨てによる経営健全化策がとられるとしても、どちらも国民に新たな負担を強いるものである。
 かたや民主党の案は、規模縮小を指向しているものの、それとセットになるべき財政再建に関する政策がいまだ抽象的で、内容が具体的ではないため、その実効性が危ぶまれように思われます。ですから、郵政民営化は、それ自体ではなく、国家財政の赤字解消とセットで論じられなければならない問題だと考えます(金子勝氏の同問題に関する発言参照)。
 以上の理由で、私は政府案に反対するものです。10年かけて経営健全化を目指すと政府はいうけれど、そんなもの出来るのか疑問だからでもあります。それと、このブログでも、郵政民営化賛成の人の意見をいろいろ聞きましたが、いまだ、私にはよくわからない論法のように思えたこともあります。その件は、過去日記のコメント欄で詳しく展開されているので、ご参照願います(2005年8月27日のコメント)。
 そして、もう選挙後の政治の問題は、憲法改悪と共謀罪、(権力者の)プライバシー保護法をはじめとする民主主義圧殺の政治日程に移っているように、私には思われます。税制については、今の日本の政府財政は、出血多量で死にかけているにもかかわらず、止血をせずに、税金という輸血をつぎ込み続けるような状態であると考えます。そして、あるときは、死にそうな姿を見せて国民に増税を要求し、あるときは血色の良くなるように見える粉飾を施して、有権者に問題の本質見えなくしている。そのように思えてなりません。
 今年来年は、いろいろやるべきことがあるように思えます。
 郵政民営化の議論のスレッドは、長くなったので、こちらに移しても結構です。
 では、また。