選挙後1

 さて、選挙も終わって、自民公明の与党が衆議院議席の3分の2を獲得した。この選挙結果にはあきれるばかりなのだが、逆に言えば、小泉は公明党と相談して合意に至れば、すべての法案を通せることになったわけである。そして、公明党は「改革を止めるな」の1点で小泉に同調しているのだから、よほど変なものでない限り、小泉の提案を拒否しないだろう。
 唯一の救いは、小泉が残りの任期1年で退陣することだろう。
 それと、ホリエモンが落選したは、非常に喜ばしいことだ。年が若いからいろいろ期待されたし、事実僕自身もTV局買収のときは、少しは期待したりした。しかし、彼の本質は、既存の価値観を変えることではなく、自分が金をもうけることの1点に絞って行動していることが、TV局買収騒動後、明白になったのだから、今回の選挙もネット・通信分野における利権目当てであることは隠しようのない事実だと判断している。だから、落ちてよかったのだ。
 ワンフ・レーズ・ポリティックスとはよく言ったもので、改革は唱えても、郵政民営化と1年で辞めること意外に小泉は何も約束しなかった。たしかにマニュフェストではいろいろ書いているのだろうが、そんなものは選挙が終われば何の意味もないのが小泉流だから、こちらは期待できない。
 有権者は、「改革を止めるな」とあれだけ熱心に言われれば、郵政民営化の次は年金で、その次は赤字財政の是正であろうと、自分の都合のよいように考える。何も約束しないから、つい自分がほしいものを相手が実現してくれると思い込んでしまうのだ。そして、あれだけ熱心に演説してるのだら、嘘のはずはないと考えがちだ。でも、そこが凡百の政治家と小泉が大きく違う点で、彼は、嘘をついても、けっして良心の呵責に悩むことはない。だから、あんなふうに堂々と嘘をつけると考えるべきなのだ。有権者は、過去2回と同様に、今回もコロッとだまされたというのが事態だと思う。
 しかし、それもすぐにすべての人に明白になる。だって、あと1年の間に小泉は、郵政民営化をするだけで何もしないだろうからだ。ひよっとしたらアメリカ案に乗って、国連常任理事国入りを目指すかもしれない。あるとしてもそれくらいだろう。ここで重要なのは、小泉が何をしたいかに集約されるということだ。財政赤字問題や、年金改革などは彼の関心ではない。2004年の法案で、ぼろを隠したことに満足しているのだから、自分が辞めた後に破綻しようがどうなろうが、気にも留めないだろう。気に留めていたら何か手を打つはずだからである。
 こうして、新たな失われた4年間が始まるわけである。
 付け加えれば、民主党は敗戦を気に病む必要はない。次の選挙で、相手の失敗によって、必ず政権が転がり込むことは確実だからだ。この4年は、その時のために準備をすべき時期だろう。