イラク人質事件

 以下の日記は、昨日午前1時にホームページの日記に書いたものです。
 少々疲れたので、これで代用します。


 CSのニュースをCATVで見たのだが、朝日ニュースターの『パックイン・ニュース』はイラク日本人誘拐事件とイラク情勢全般について的確な分析をしていた。

 まず、大手テレビ局、新聞は完全に政府のコントロール下にあり、必要な報道をしていないということ。これは政治評論家の森田実さんが話していたのだが、日本人外交官殺害に関して、米軍占領当局と日本政府は一緒になって真相を隠している。それは逆に米軍誤射説を裏付けることになること。

 ゲリラ襲撃説の可能性を示唆する発表が、あたかもゲリラ説が正しいかのように変化して大手新聞、テレビ局で報道されていること。そして、警察発表自体が、詳細に検討すれば、米軍誤射説を裏付けていること。民主党の議員が国勢調査を要求しても、送られてきた車の写真すら見せないで隠していることなどが発言されていた。

 そして、この番組を見ているうちに、昨晩首相官邸前で泊り込み抗議の人と話したときに出た「本当は小泉首相も何か大きな力で身動きできないのではないか」という疑問に対する答えがわかった。

 番組の中で、小泉は「自衛隊員の死者が一桁なら政権に影響はない。二桁なら棺に国旗をかけるのに手間取るかも」と話していたという発言があった。

つまり、イラクでの日本人自衛官殺害事件の真相も、今回の人質事件についても、もしその影響で日本政府が自衛隊を撤退させれば、米軍のイラク占領失敗に直結する。そして、米軍のイラク占領が失敗すれば、ブッシュの再選は不可能になると分析されていた。小泉にしても、ここで自衛隊を撤退させれば、自らの派兵の非を認めたことになる。

靖国参拝は戦犯と戦争犠牲者であるはずの家族を一緒に拝むことをありがたがる頭のおかしい遺族団からの票目当ての政策であるにしても、違憲であるという地裁判決に対して、小泉が「理解できない」を連発するのは、自分の非を認めることができないためだろう。

 つまり、自衛隊イラク撤退は、小泉の退陣を意味するから、できないわけである。そして、大手新聞社、大手マスコミは、こうした様々な真実とその追求すらも、ひた隠しにして、ゲリラへの怒りや「脅しで撤退はできない」ことのみを報道する。

その裏で、現在現在進行しているもっと深刻なイラク情勢の変化は、自衛隊宿営地であるサマワに通じる南部都市が、反占領軍勢力によって次々と陥落している状況であることも紹介された。まだ完全に陸路を絶たれたわけではないが、最後のルートの近くまで藩占領軍勢力の支配地域が広がったことが指摘されていた。

 この番組の論者は、自衛隊に対してヘリによる物資輸送の手立てを考えなければ、近い将来すぐに自衛隊は孤立し白旗を揚げると予測している。

 つまり、放って置いてもすぐに自衛隊は撤退する事態になるということだ。ならば、なぜ今、人質が生きているうちに撤退できないか。それはすべて、小泉の常軌を逸した近視眼的な自己保身のためであると言い切れるだろう。

 この番組の中で、小泉が自分を、国家的危機に際して超法規的権限を持つ大統領のように考えていると指摘されていた。

これで、これまでの小泉の、まるで酔っ払いのような国会答弁と法律、憲法無視の態度が理解できた。そもそも超法規的権力を持っている(と自分自身が考えている)のだから、総理大臣としての権限を規定する法律すら無視できるわけだ。

 このように小泉は、自らの保身だけのために、無意味かつ有害な自衛隊駐留を続け、3人の命を見殺しにしようと行動している。だから、いま3人の命を救えるの世論しかない。しかしその世論さえ、小泉はマスコミ情報の小出しのリークと、必要とあらば遮断する用意を持って、完全にコントロールしている。日本の大手マスコミ報道は、完全に死んだ。

 期待できるのは、小さな局の独立系ニュース番組と、文春事件で的確に真理を言い当てた「真紀子の娘だから発禁なんでしょ?」という言葉に示される、民衆理性しかないだろう。この言葉は、どんな法理論より、的確に真実を見抜いていたのだ。出世目当てに白を黒と言い換える地裁のいかれたバカ裁判官の判決だったわけだ。

 そんなわけで、小泉は「テロに屈しない」「自衛隊は人道援助だから何で攻撃されるのかわからない」と言いながら、本心ではすべて理解していながら、自分の政治生命を人質の命より上に置いて嘘をついているに過ぎないうことが、このように明らかになった。そして、テレビを見ている人が、自分じゃなくてよかったと思うのは勝手なのだが、次に命の危険が発生して、そうであるにもかかわらず見殺しにされるのは、いま3人の人質を見殺しにしている僕ら自身であることを肝に銘じなければならないだろう。

 政府は救出活動を最大限の努力でやっていると言うが、こんなもののどこが最大限の努力だというのだろうか? 何の役にも立たないことは一目瞭然だ。一番確実で、正当かつ常識的な判断は、自衛隊の即時撤退しかない。

 小泉に選挙目当てで協力する自民党員、与党の一角である公明党創価学会池田大作は全員、自らの政治的立場のみを考える、人殺しである。この自民党の立場に協力している菅を代表とする民主党執行部も同罪だ。人質事件を受けて、心ある民主党議員が、自衛隊即時撤退を決める両院議員総会を開こうとしたら、なんと幹部会は、その開催を月曜日に、撤退期限の過ぎた月曜日に!開くことを決定したという。

民主党の幹部は、この嵐をやり過ごし、もっとたくさんの人が死ぬときに小泉を追い落とせばいいと思っているのかもしれない。しかし、国民は、民主党幹部が、自民党と一緒になって3人の人質を見殺しにしようとしたことを、決して忘れないだろう。

 それとも、民主党も政権をとった後、自民党同様マスコミ操作で、自己に不利な報道をさせないようにすればいいとでも考えているのだろうか? 愚の骨頂である。

 心あるマスコミが残る限り、最後まで民主党のこの裏切りを、糾弾するだろう。