安倍と石原は即時退陣すべき

安倍氏は、まだ総理大臣ではないので、退陣してもしょうがないのだけれど、彼が日本のためにできる一番いいことは、もしなることができたなら、なった首相を即時退陣することだと思う。だって、自民党員の支持は、なんとなく「人柄がよさそう」が一番で、政策は10%ほどしか知らなかった(朝日新聞アンケート)。そして、自民党国会議員の支持は、人柄がよさそうだから「なんとなく自分の意見を聞いてくれそう」といったところだろう。彼のブレインは、国際政治の現実を見ない右翼のタカ派ばかりだし、こんな政権が物笑いの種のワイドショー以外の世界で通用するはずがないと思うからだ。
その中でも一番の問題点は、彼が統一教会勝共連合のシンパであると推測される点である。統一教会とは、詐欺的霊感商法で壷などを売って巨額の利益を得た、宗教の名を借りた犯罪者集団であり、その行動は、これまでテレビ等で報道されてきたとおりだ。そのメンバーが重複して参加する勝共連合とは、冷戦の時代に国外の共産主義諸国と国内の左派勢力を攻撃することによって、国内の民主主義を求める勢力を抑圧する方向に言論を誘導しようとしたデマゴーグ勢力である。この団体には世界平和教授アカデミーなんていう傘下団体も含まれる。
週刊誌で報道されるように安倍氏は、この関連団体の集会に、祝賀電報を送ったわけで、この理由は以下の2つ以外にない。
ひとつは、政治資金を受けている。もしくは、そうでなければ、政治的にそれを支持しているということだ。
このどちらかでしかない。そして、そのどちらであっても、それは日本に住む人間に百害あって一利なしといわざるを得ない。
また、石原なのだが、雑誌『世界』今月号が、その特集で2期目の石原都政の検証を行っている。
この特集によれば、石原は、福祉を中心とした予算削減で浮いた税金で大規模公共工事を行うという、まるで高度成長期の国政と瓜二つの政策を採っているという。それは東京都に住む住民の利害と真っ向から反対するものである。なぜなら、都知事として目指すべき第一の目標は、都民の生活の向上であるからだ。
昨今報道される、悲惨な事件も、愛国心教育委員会、文部省の命令に従う教員の養成といった政策では決して解決できない問題であり、本当の原因は、この小泉の5年間で進んだ新自由主義的政策によって、子供の育つ家庭環境自体が福祉削減によって破壊されたことに他ならない。この意味で石原の都政は、小泉と同じ性質のものと、『世界』の特集では結論付けられている。
だから、石原が都民にとってできる一番の行動は、即時退陣だと思う。
そもそも、今回の2回目の「三国人」発言という人種差別発言からして、以前『世界』2000年10月号「人種差別撤廃条約から見た石原発言」で大阪大学の村上正直氏が指摘しているとおり、石原の「三国人」発言は日本政府が批准している人種差別撤廃条約違反であり、違法行為であった。つまり、政府によって批准された条約は、その国内では法と同様の効力を持つのであるから、石原は犯罪者なのである。ただ罰則規定がないだけの理由で放任されているに過ぎない。それがゆえに、石原は前回、謝罪したのである。それを繰り返すとは何おかいわんやといった次第だ。
先のユニオンジャック発言にも見られるように、閣僚を含む国会議員の差別発言の頻発を見ると、罰則規定を持った差別禁止法の制定が必要だと思う。でなければ、いまの幼児化した自民党小泉チルドレン(これは武部など古参の小泉支持議員も含む)の暴走を止めることはできないと思う。巨大化した与党のもとで、こうした法律を作るのは、まさに泥縄なのだが、であるからこそ政権交代が必要であると論が進むわけである。
ともかく、こうした問題は、のんびりした都民には、やり過ごせる問題でも、国際的に見たら、この差別発言だけでも、知事として職責を追われるべき重大な犯罪行為である。
先日の東京地裁での、都教委の君が代・日の丸指導を違憲とする判決を待つまでもなく、そして、すぐに控訴すると反応した石原の今朝の新聞報道を待つまでもなく、石原はこれまでの都政運営、およびその人種(その他もろもろの)差別発言を理由に、都知事にふさわしくなく即時退陣すべきであると、有権者は判断するべきだと僕は主張したい。