「非共産党系左翼」とは?

 「非共産党系左翼」の日記というネーミングは、1981年にフランス社会党系のミュッテラン大統領が誕生し、続く総選挙で社共連合が地すべり的大勝利をしたときの、フランス社会党のとった戦略のことを指します。労組と大衆的組織化で確固とした地盤を持つ共産党に対して、フランス社会党反戦や反差別、海外援助、エコロジーなどのNPO、NGOや急進左派、その他左派知識人を巻き込んだで「非共産党系左翼(左派)」のグループを形成したのでした。その中核は、1968年の5月革命を担ったかつての若者たちだったといいます。
 僕自身はマルクスの考えた共産主義社会を現代風に描くことを目的としているのですが、現状の日本社会を見れば、新自由主義経済政策よりケインズ主義、自由放任より高度福祉社会、官僚の専制ではなく市民による自主管理的な政治コントロール、ハード・エネルギー・パスよりソフト・エネルギー・パスなどのほうが優れているのは言うまでもありません。ですから、共産主義社会の実現は、こうした社会の実現のその先にある、よりも優れた社会という意味です。そのため僕のいう共産主義社会とは、現状より、そして将来実現されるであろう高度福祉社会より、より自由でより民主主義な社会を目指すものといえます。
 つまりひとことで言えば、思想的統一を目指す右翼や全体主義者、そして左派のスターリン的前衛党などとは正反対で、徹底的に社会の多様性を擁護する立場こそ「非共産党系左翼(左派)」の立場といえます。それを保障するために自由主義や民主主義、特に万民の基本的人権(特に生存権や思想・良心の自由)の徹底的な擁護が重要になるわけです。
 ちなみに僕の立場は、構造改革派の新左翼。最近の言い方をすれば、新新左翼を結集しようとするカナダのナオミ・クラインさんと同じ立場です(世界2005年8月号90頁参照)。