「福田=嘘つき」の次は「小泉=人殺し」

 今この瞬間も人質になった日本人3人は、自衛隊撤退による自らの解放を待ちながら、イラクのゲリラ基地に閉じ込められている。
 今回の自衛隊派遣の名目は、イラク人に対する復興援助であった。それなら民間人の命を犠牲にしてまで継続する理由はない。なぜなら、自衛隊が撤退しても、これまで日本が運び込んだ資材をイラク人に引き渡し、イラク人の手で復興事業を行わせ、そして、日本政府が自衛隊員に払っている給料・特別手当を、彼らイラク人の作業員に給与として支払えば、一人の自衛隊員につき、10人から20人のイラク人、ひょっとしたらそれ以上のイラク人の雇用を創出できるからだ。そして、そうした撤退を発表するだけで、少なくとも、今とらわれている3人の日本人の命が助かる。
 もし小泉が自らのちっぽけな面子にこだわり、なおかつ日本人を救出できなければ(これはできそうもないし、いまだ、なんら有効な手段を取れないでいるように見える)、小泉はアメリカに対する忠誠を示すだけのために、日本人の、しかも民間人の命を見殺しにしていることになる。だからすぐに「小泉=人殺し」になるわけである。
 公明党の閣僚とそれを背後で支える創価学会の責任も重大だ。特に創価学会指導者の池田大作は、自らの団体が影響力をもつ複数の雑誌で、自分を平和の使者と称している。しかし、今日からは「池田大作=殺人鬼」と自らを称したほうがいいだろう。簡単な決断一つで日本人の命を救えるのに、政権に留まりたいという理由ひとつで、彼ら3人を見殺しにしようとしているからだ。
 そして、そもそも自衛隊は日本人の生命と財産を守るために存在しているはずなのに、国際紛争を引き起こし、その日本人を殺す原因になるのは、まったく逆の行動だ。武器は本来、自己防衛にも殺人にも使えるニュートラルなものだが、今回の事件は、その使用者(今回は自衛隊の指揮権者たる首相=小泉)の脳みそ次第でどのようにも使えるという、いい例になった。だからこそ9条で政府を縛る必要があることも証明されたといえるだろう。
 福田官房長官は昨日の記者会見で、「自衛隊派遣は今回のテロの原因ではない」と言い切った。「派遣してもしなくてもテロは起こる」と。しかし、これは真っ赤な嘘だ。これまで日本人が中東で誘拐され、殺害を予告されたことはなかった。中央アジアで海外協力隊員が誘拐されたことはあったが、彼らは交渉によって生きたまま救出された。その意味で、撤退がなされない限り、殺されることが確実になったのは、今回が初めてだ。
 しかし、それも理由のないことではない。前回の誘拐は、日本が武力やそうした軍事戦略上の外交を行わず、ひたすら井戸を掘り築いてきた日本の対中東政策のなかでの事件だったからだ。
 しかし今や、アメリカ政府の「大量破壊兵器はある」という嘘で始められた戦争を、国民の過半数の反対を無視して、小泉は国連でアメリカの後押しをし、開戦するやすぐさまアメリカ支持を表明した。そして、アメリカの占領が始まると、「アメリカへの協力」を「国際協力」と言い換える嘘を平然とつき、内戦の続くイラク武装した自衛隊を米軍指揮下で派遣した。航空自衛隊を使ってアメリカ占領軍の兵員や武器を輸送までしている。これのどこが「平和的人道的援助」なのだろうか? ともあれ、このように日本の立場は変わり、米軍がイラクで行った、そして現在も行っている虐殺の応援者に成り下がっている。
 東アジアにおける第二次世界大戦を本心では肯定している小泉は、靖国神社で戦犯を拝むことすら、自らの公約として掲げている。口先だけで平和を唱えても、行動がそれを裏切っているのだ。そして今回の中東である。
 小泉はこの一瞬の2つの言動で、国際社会において日本が最も重視しなければならない地域の二つである東アジアと中東で、過去数十年にわたって日本が築いてきた友好という財産を破壊した。次に破壊するのは、日本人の生命くらいしか残っていないのだろう。そしてそれを今しようとしている。
 小泉が見放した3人の命を救うには、日本に住む市民の一人一人が声をあげるしかないと思う。