民主党の自爆;どうしても戦争したがる政治家達

 今朝の朝日新聞朝刊に掲載された民主党の新政策のニュースは、非常に失望させられるものだった。
 国連決議がある場合、自衛隊から作られる別動部隊を海外での戦闘任務につかせることを可能とする法案を民主党が準備するという。これは次回総選挙のマニュフェストにも掲載される予定だそうだ。
 「国連決議」だから「国権の発動」ではない、といった脳みその腐ったようなアホな意見は以前にも語られたことがある。しかし、その決議に従うこと自体が明らかに政府・議会の意思(=国権の発動)なのだから、こんなアホな理屈は通らないことは誰にでもわかるだろう。
 そして、もっと重要なことは、この法律が明らかに憲法9条が規定する「国際紛争を武力で解決しない」という理念に抵触することである。僕のような9条擁護派には、絶対受け入れることのできない法律といえる。
 9条擁護派が、あえて譲れるとすれば、日本国の国境を他国の軍隊が侵犯したときの反撃として、自衛隊を使うということが、最大限の譲歩だ。なぜなら、国境が侵犯されるなら、それは日本市民にとっても無関係ではないから。
 そして、もしこの法律の制定が民主党の政策となるのなら、国防政策に関して民主党自民党より「タカ派」になってしまうことになる。それが、最も重要な点である。
 現在のように郵政民営化の是非をめぐって小泉政権が得断末魔にあり、総選挙が近いといわれ、それゆえ、民主党が政権を獲得する絶好の機会にある時に、自民よりタカ派の国防政策を打ち出すことの意味を、民主党は本当に理解しているのだろうか?
 反自民有権者のほとんどは自衛隊の海外での戦闘に反対している。それゆえイラク派兵にも反対しているわけだ。それは60年間日本が避けてきた、国外での戦争を意味するからである。それゆえ、民主党の今回の政策は、こうした有権者(=民主党支持者)をてひどく裏切る行為である。
 そして、裏切られた有権者は、小選挙区では絶対に当選しない共産党社会民主党の候補に投票するという自爆的行動に走るだろう。だって、国防政策に関しては、現状では、自民党のほうが民主党よりハト派なのだから。そして、次に来る改憲国民投票では、自民党案に反対票を投じるだろうけれど。
 「腐敗」か「戦争」かと問われれば究極の選択といえる。しかし、迷うことなく、僕は「腐敗」を選ぶだろう。なぜなら、直接それによって(敵にしろ、味方にしろ、中立にしろ)人が死ぬことはないからだ(間接的に多くの人が死ぬとしても、まだ戦場よりは避ける手段がある)。民主党がこのアホな海外派兵政策を取り下げるのなら、「腐敗」も「戦争」も避けることが可能だ。だから再考を則したい。
 そして、その取り下げは、選挙での勝利を意味する。だって、ハト派の票が逃げるから、民主党小選挙区で、僅差で自民党に負けているのだから。